重さ解消、動き軽やか。ベリーショートは「段あり」で垢抜ける
すっきりとした潔さが魅力のベリーショート。しかしその一方で、こんな風に感じてはいませんか?
「髪全体が重たくて、まるでヘルメットを被っているように見えてしまう…」
「もっと髪に、軽やかな動きやシャープな束感を出したいのに、ワックスをつけても上手くスタイリングできない」
その、ベリーショートならではの尽きない悩みを解決するプロの技。それこそが、髪に計算された**「段(レイヤー)」**を入れるカット技術なのです。
この記事では、いつものベリーショートが、この「段」という一手間を加えるだけで、驚くほど軽やかで、お洒落なスタイルに変わる理由と、そのオーダー方法を詳しく解説します。
そもそも「段あり(レイヤーカット)」とは?
「段あり」のヘアスタイルは、専門的には「レイヤーカット」と呼ばれます。
これは、上の髪を短く、下の髪を長く残すようにカットすることで、髪の表面に**「段差(レイヤー)」**を作るカット技法です。このシンプルな技術をベリーショートに取り入れるだけで、多くの素晴らしいメリットが生まれます。
- ① 劇的な「軽さ」と「動き」が手に入る
髪の重なりが少なくなるため、スタイル全体が非常に軽やかになります。これにより、ただ下ろしているだけでも毛先に自然な動きが生まれ、風になびくような、爽やかな印象を演出できます。 - ② 簡単な「束感」を演出できる
レイヤーによってできた髪の長短の差が、自然な毛束を作り出してくれます。そのため、スタイリングの際にワックスを軽く揉み込むだけで、まるでプロが作り込んだかのような、シャープで立体的な束感を簡単に再現することができます。 - ③ 重さの解消(脱・ヘルメットヘア)
ベリーショートが重く見えてしまう最大の原因である、トップ部分の重さ。レイヤーカットで表面の髪の重さを取り除くことで、全体のバランスが整い、あなたの頭の形にフィットした美しいシルエットが生まれます。 - ④ 優れた骨格補正効果
あなたの頭の形に合わせて段の入れ方を調整することで、後頭部に自然な丸みを出して絶壁をカバーしたり、トップに高さを出してシャープに見せたりと、骨格を美しく見せる効果も期待できます。
「段」の入れ方で印象は変わる
「段」は、その入れ方(深さ)によって、与える印象をコントロールすることができます。
- ハイレイヤー(段が多め)
トップの髪をかなり短くし、段差をはっきりとつけるスタイルです。ウルフスタイルなどがこれにあたり、髪の動きが非常に出やすくなります。ワイルドで、無造作な雰囲気を強く出したい方におすすめです。 - ローレイヤー(段が少なめ)
髪の表面にだけ、さりげなく段差を入れるスタイルです。全体のまとまりは維持しつつ、毛先にだけ柔らかな動きをプラスします。ナチュラルで、上品な雰囲気を好む方に最適です。
「段あり」が活きる!おすすめベリーショートスタイル
- ショートレイヤー
「段あり」スタイルの王道。爽やかさと清潔感が際立ち、スタイリングも非常に簡単です。 - マッシュショート
重くなりがちなマッシュに、レイヤーで軽さと動きをプラスした、現代のメンズヘアにおける最も人気の高いスタイルの一つです。 - ソフトモヒカン
トップに段を入れて束感を強調することで、よりシャープで立体的なシルエットになります。 - ツーブロックとの組み合わせ
サイドをツーブロックですっきりとさせ、トップに段を入れることで、メリハリと軽やかさを完璧に両立できます。
失敗しない!「段あり」スタイルのオーダー術
専門的な技術だからこそ、あなたの「なりたいイメージ」を正確に伝えることが重要です。
「悩み」と「なりたいイメージ」を伝える
まず、あなたの悩みを正直に伝えることが、理想のスタイルへの近道です。
「トップが重いので、段を入れて軽く見せたいです」
「ワックスを付けた時に、簡単に束感が出るようにカットしてください」
「無造-作で、動きのある感じにしたいです」
このように伝えることで、理容師は「レイヤーカットが有効だ」と判断し、最適な提案をしてくれます。
「どのくらい軽くしたいか」を伝える
「あまりスカスカにはしたくないので、自然な感じでお願いします」(ローレイヤーのイメージ)
「しっかりと動きが出るように、全体的に軽めにしてください」(ハイレイヤーのイメージ)
写真を見せるのが一番確実
あなたの理想とする髪の動きや束感が出ているヘアスタイルの写真を用意し、「こんな質感にしたいです」と見せるのが、最も簡単で確実な方法です。
「段」を最大限に活かすスタイリング術
レイヤーカットを施した髪は、スタイリングも非常に簡単になります。
ドライヤーで髪の根元を乾かした後、髪全体をくしゃっと優しく握るようにしながら、いろんな方向から風を当てて乾かしましょう。こうすることで、レイヤーによる自然な動きがより一層、際立ちます。
スタイリング剤は、ファイバーワックスやマットワックスなどを少量手に取り、髪の内側から、毛先を散らすように馴染ませ、最後に指先で毛束をつまんでシルエットを整えれば、簡単にプロのような仕上がりが完成します。
なぜ、繊細なカットは理容室(バーバー)なのか
ごまかしの効かないベリーショートに、計算された「段」を入れること。それは、まさにプロのカット技術の真価が問われる領域です。
あなたの頭の形を最も美しく見せるために、どこに、どのくらい深く段を入れるべきか。男性の硬い髪質や多い毛量を、いかにしてカットだけで軽く、動きがあるように見せるか。その答えを、私たちメンズヘアの専門家は知り尽くしています。
まとめ
「段あり(レイヤーカット)」は、いつものベリーショートスタイルが抱える「重さ」や「扱いにくさ」といった悩みを解消し、そのデザイン性を飛躍的に高めてくれる、プロの理容師が持つ重要な技術の一つです。
その絶妙なバランスを見極め、あなたの髪質と骨格に合わせて最高の形に仕上げること。それこそが、私たちの仕事です。
「ただ短いだけ」のカットから卒業し、計算されたデザインで新しい自分を発見するために。ぜひ一度、お気軽にご相談ください。