坊主頭の印象は「もみあげ」で決まる|自然でおしゃれな形の作り方
髪型を完成させる、顔周りの重要な部分
すっきりと潔い坊主頭は、そのシンプルさゆえに、顔周りの細かな部分の処理が、その人の清潔感や全体の印象を、非常に大きく左右することになります。そして、その中でも、横顔の美しさを決定づける、とりわけ重要なパーツ、それが「もみあげ」です。
普段、あまり意識してこなかったという方もいらっしゃるかもしれませんが、この、もみあげの形や長さをどのように整えるかで、坊主頭の印象は、より自然で柔らかくも、よりシャープで精悍にも、自在に変化させることができるのです。ここでは、その奥深い、もみあげの世界について詳しく解説してまいります。
もみあげの基本的な形の選択肢
坊主頭に合わせるもみあげには、いくつかの代表的な形があり、それぞれが異なる印象を与えます。
形1:自然な形で残す
最も基本的で、どのような顔の形の方にも自然に馴染みやすいのが、ご自身の生え方を活かして、その形をきれいに整える方法です。先端を少し斜めに、あるいは自然な丸みを持たせて整えることで、顔の輪郭に優しく溶け込みます。
形2:先端を尖らせる
もみあげの先端を、やや鋭角に、少しだけ尖らせるように整えると、全体の印象がぐっと引き締まり、シャープで精悍な雰囲気になります。横顔をよりすっきりと見せたい、という方にお勧めの形です。
形3:自然にぼかす(刈り上げる)
特定の形をはっきりと作らずに、もみあげの部分から耳周りにかけて、だんだんと短くなるように、自然な色彩の濃淡(グラデーション)をつけて刈り上げていく方法です。これは「フェードスタイル」とも呼ばれる技法の一部で、非常に現代的で、手入れの行き届いた清潔感を演出することができます。
形4:完全になくす
もみあげを全てきれいに剃り上げてしまう、非常に潔いスタイルです。耳周りがこの上なくすっきりとし、究極の清潔感を表現することができます。
もみあげの長さを決める
もみあげは、その形だけでなく、「長さ」もまた、全体のバランスを左右する重要な要素です。一般的には、耳の中心部分、いわゆる耳の穴の高さあたりまでを基準の長さとすると、多くの方にとってバランスが良く見えるとされています。もちろん、お客様の顔の輪郭や、髭(ひげ)との繋がりなども考慮しながら、最適な長さをミリ単位で調整していくことが大切です。
なぜ理容室で整えるべきなのか
この、もみあげを美しく整えるという作業は、ご自身で行うには、実は最も難しい部分の一つです。鏡を見ながら、左右を全く同じ形、同じ長さに揃えるのは至難の業であり、ほんの少しのズレが、お顔全体の歪みに見えてしまうことさえあります。
私達理容師は、お客様の顔の輪郭や頬骨の位置といった、骨格全体を正確に把握した上で、その方に最も似合う、完璧なバランスのもみあげをデザインする専門家です。そして、理容師だけに許された専門技術であるカミソリを用いることで、もみあげの輪郭をどこまでも美しく、くっきりと際立たせ、細かな産毛一つない、滑らかな肌に仕上げることができます。
まとめ:細部へのこだわりが、本物の格好良さを生む
坊主頭という髪型の真の格好良さは、全体の長さだけでなく、もみあげのような、細部にまで神経が行き届いているかどうかで決まります。その人だけに似合う、完璧なもみあげをデザインし、それをミリ単位の狂いなく形にすることこそが、私達プロの理容師の腕の見せ所です。髪を切る際には、ぜひ、もみあげのデザインについても、お気軽にご相談ください。