「ツーブロックマッシュ」をノーセットで。清潔感と柔らかさを両立する髪型
サイドをすっきりと刈り上げることで生まれる、揺るぎない清潔感。そして、柔らかな丸みがもたらす、優しくお洒落な雰囲気。この、男性の髪型における二つの大きな人気要素を、巧みに掛け合わせた「ツーブロックマッシュ」。お洒落さと好印象を、まさに“良いとこ取り”で両立できるその髪型は、多くの男性から絶大な支持を集めています。さらに、その完成された髪型を、日々の整髪をしない「ノーセット」の状態で楽しむ。それは、何かと多忙な現代を生きる男性にとって、最も賢明で、そして快適な選択の一つと言えるでしょう。今回は、そんなツーブロックマッシュの魅力を、整髪なしでも最大限に引き出すための、カットの考え方と秘訣についてお話しいたします。
なぜ「ツーブロックマッシュ」はノーセットに最適なのか
まず、なぜこの「ツーブロックマッシュ」という髪型が、整髪をしない「ノーセット」と、これほどまでに相性が良いのでしょうか。その理由は、この髪型が持つ、非常に合理的な構造にあります。髪が横に広がりやすい、耳周りやサイドの部分が、常にすっきりと短く刈り上げられているため、髪型全体の基本的な清潔感が、決して揺らぐことがありません。また、髪全体のボリュームが効果的に抑えられるため、ご自宅で髪をただ乾かすだけで、全体の形が驚くほど決まりやすくなります。刈り上げ部分のシャープな印象と、上に被さるマッシュ部分の柔らかな印象。この対照的な二つの要素が、特別な整髪をしなくても、髪型全体に自然なデザイン性を与えてくれるのです。
成功の鍵は、刈り上げとマッシュの「繋がり」
ツーブロックマッシュのスタイルに挑戦する際に、多くの方がご心配されるのが、「刈り上げた部分と、その上に被さるマッシュの部分の境目が、不自然に見えてしまわないだろうか」という点です。この髪型が格好良く決まるかどうかの、まさに生命線とも言えるのが、この「繋がり」の部分がいかに自然であるかに懸かっています。私たち専門家は、刈り上げた部分に、下から上に向かって滑らかな色の濃淡をつけることで、まず肌との境目を自然に見せます。その上で、上に被さる髪の、ちょうど境目にあたる部分の毛量を、外からは見えないように、髪の内側から丁寧に調整します。この繊細な手仕事によって、髪は驚くほど自然になじみ、まるでキノコのような不自然な段差が生まれるのを防ぐのです。
あなたに似合う、バランスの見つけ方
この髪型は、刈り上げの高さや、上に乗せるマッシュ部分の重さを調整することで、その印象を様々に変えることができます。例えば、刈り上げる高さを低めに設定すれば、よりナチュラルで、落ち着いた大人の印象になります。逆に、少し高めにすれば、よりシャープで、若々しく個性的な雰囲気を演出できます。また、上のマッシュ部分を重めに残せば、少し落ち着いた雰囲気に、逆に軽めに仕上げれば、爽やかで動きのある快活な印象になります。ご自身の好みや、なりたいイメージに合わせて、これらの要素を理容師と相談しながら決めていくのも、この髪型の大きな楽しみの一つです。
ご自宅でできる、簡単な再現方法
カットによって創り出された美しいシルエットを、ご自宅で簡単に引き出すための、乾かし方のコツがございます。髪を乾かす際には、まず全体の根元をしっかりと乾かしてください。その後、刈り上げの部分は、ドライヤーの風を上から下に向かって当てて優しく抑え、マッシュの部分は、ご自身の頭の丸みに手のひらを沿わせるように、柔らかく包み込みながら乾かすと、それぞれの部分が持つ美しい質感が、綺麗に再現されやすくなります。
理容室での上手な頼み方
理容室で、理想のツーブロックマッシュを注文する際には、まず「ツーブロックのマッシュスタイルにしたいです」と、基本的な髪型をお伝えください。そして、最も大切なこととして、「普段はあまり整髪をしないので、ノーセットでも自然にまとまるようにしてください」と、ご自身の習慣とご要望をぜひお聞かせください。もし、理想とする髪型の写真などがあれば、「この写真くらいの刈り上げの高さで、上の髪はこれくらいの重さが好きです」といったように、具体的なイメージをご相談いただくのが、最も確実な方法です。
清潔感とお洒落、どちらも諦めない髪型
整髪をしない「ノーセット」でありながら、すっきりとした清潔感と、柔らかなお洒落さを、非常に高い水準で両立する「ツーブロックマッシュ」。それは、現代を生きる男性の願いを、見事に叶えてくれる、大変に完成された髪型です。その絶妙なバランスは、お客様一人ひとりの骨格や髪質と真摯に向き合う、理容師の誠実な技術によって、静かに、しかし確かに支えられています。髪の手入れはできるだけ楽に、でも、格好良さは決して諦めたくない。そんな、あなたの少し欲張りな、しかし当然の理想を、ぜひ私たちに聞かせていただけないでしょうか。