パーマが「チリチリ」で決まらない。ノーセットの理想と現実、その原因と解決策
「毎朝の整髪をもっと楽にしたい」「髪に自然でお洒落な動きが欲しい」。そんな、ご自身の姿への期待を胸に、勇気を出してパーマをかけたにもかかわらず、整髪をしないと、髪が思うようにまとまらず、まるで傷んでしまったかのように「チリチリ」と見えてしまう。そんな、理想とは程遠い現実に、深く心を痛めていらっしゃる方も、もしかしたら、いらっしゃるかもしれません。なぜ、そのような悲しい結果になってしまうのでしょうか。そして、その状態から抜け出し、本来の美しい髪を取り戻すための方法はあるのでしょうか。今回は、そんなパーマに関する切実なお悩みの原因を解き明かし、本当の意味で「ノーセット」でも美しく決まる髪型を手に入れるための考え方について、お話しさせていただきます。
なぜ、パーマは「チリチリ」になってしまうのか
まず、なぜパーマをかけた髪が、意図しない「チリチリ」とした質感になってしまうことがあるのでしょうか。その原因は、一つだけとは限りません。例えば、お客様の髪質や、その時点での髪の健康状態を十分に考慮せず、髪の体力が耐えられる以上の、強すぎる薬剤や熱を用いて施術を行ってしまうと、髪は質感を失ってしまいます。また、土台となるカットが、パーマによる動きを計算せずに施されていると、せっかくのカールが綺麗な流れにならず、無秩序に散らばってしまい、結果として「チリチリ」に見えてしまうこともあります。
まずはご自宅でできる、応急手当
今まさに、ご自身の髪の状態にお悩みの方が、まずご自宅で試みていただきたいのは、髪に対する「徹底的な保湿」です。パーマ後の髪は、非常にデリケートで、水分を失いやすい状態にあります。シャンプーの後のトリートメントを、いつもより少しだけ長い時間を置いて、髪に優しく、そして丁寧になじませてあげてください。また、髪を乾かす前には、洗い流さないタイプのトリートメントなどを、特に傷みが気になる毛先を中心に、そっと揉み込むようにしてつけていただくことも、髪を乾燥から守る、大変有効な方法です。
本当の解決策は「髪との対話」から
ご自宅での丁寧な手入れは、髪の状態を落ち着かせる上で非常に大切です。しかし、一度質感を損なってしまった髪を、本当の意味で美しく蘇らせ、さらに「ノーセット」でも決まるような理想の状態にするためには、やはり髪の専門家による、正確な診断と適切な処置が必要となる場合がございます。誠実な理容師は、まずお客様の髪の状態を、指で触れ、目で見て、正確に診断します。そして、「なぜ、このような状態になってしまったのか」という根本的な原因を、お客様との対話を通して、一緒に考えていきます。その上で、傷んでしまった部分を丁寧に取り除くためのカットを施したり、髪の体力を回復させるための特別な手入れをご提案したりと、お客様にとっての最善の解決策を探っていくのです。
次に失敗しないための、パーマ選び
これから先に、もう一度パーマに挑戦する際には、ぜひ知っておいていただきたいことがございます。「ノーセット」でも美しく決まるパーマは、パーマをかける前の「準備」が、その成否のすべてを決定づける、ということです。まず、パーマの施術に十分に耐えられるだけの、健康な髪の状態を育んでおくこと。そして、パーマによる動きが最も綺麗に見えるように、あらかじめ毛量や質感を整えておく、緻密なカットを施しておくこと。これらはすべて、お客様の髪と真摯に向き合う理容師だからこそ、ご提供できることです。
理容室で「失敗経験」を伝える勇気
もし、次に理容室を訪れる機会がございましたら、ぜひ、過去のパーマでのご経験を、正直にお話しいただけないでしょうか。「以前に一度パーマをかけた際、整髪をしないと、髪がチリチリになってしまった経験があるんです」と。その上で、「なので、今回は整髪なしでも、パサつかず、綺麗なカールが出るようにしてほしいです」という、ご自身の具体的なご要望をお伝えください。その言葉は、私たち理容師にとって、お客様の髪を最高の状態にするための、何よりも大切な道しるべとなります。
失敗は、最高の髪型への道しるべ
パーマでの一度の、少し悲しいご経験は、決して無駄なものではありません。その経験があったからこそ、ご自身の髪質のことをより深く知ることができ、本当に信頼できる理容師を見つけることの大切さに、気づくことができたのかもしれないのです。私たちは、お客様が抱える髪に関するお悩みに、どのような些細なことであっても、真剣に耳を傾けます。その「チリチリ」というお悩みを、最高の「ツヤツヤ」という心からの喜びに変えるお手伝いをさせていただくこと。もう二度と、髪型で悲しい思いをしてほしくない、という一心で、私たちは日々、技術と知識を磨き続けております。