面長と絶壁、二つの骨格のお悩みを調和させる髪型
顔の縦の長さが気になる「面長」の輪郭と、横から見たときの後頭部が平坦に見える「絶壁」のシルエット。この二つの異なる骨格のお悩みを同時に抱え、髪型選びにおいて「あちらを立てればこちらが立たず」という、非常に難しい状況にいらっしゃる方もおられるのではないでしょうか。後頭部に立体感を出そうとすると顔の長さが強調され、顔の長さを補正しようとすると後頭部の形が気になってしまう。その複雑な心境は、察するに余りあります。しかし、専門的な知識と視点があれば、その二つのお悩みを一つの髪型の中で美しく「調和」させることが可能です。
目指すのは「ひし形」と「奥行き」を両立させた立体的な髪型
面長と絶壁という二つのお悩みを同時に解消するための設計図は、非常に立体的です。まず、面長の印象を和らげるために、全体の輪郭を理想的な「ひし形」に近づけます。これは、顔の横、特にこめかみから頬骨のあたりに自然な幅を持たせることで、縦長の印象を緩和する考え方です。そして同時に、横顔の美しさを決定づける、後頭部の丸み、すなわち「奥行き」を創り出します。この正面からの「ひし形」と、横からの「奥行き」を、一つの髪型の中で矛盾なく両立させることこそが、私たちの目指すゴールです。
縦と横の印象を同時に操る、緻密なカット設計
理想的な立体感を創り出すためには、ミリ単位の調整を伴う緻密なカット設計が不可欠です。まず、顔の縦のラインを不必要に強調しないため、頭頂部の髪は過度に高くせず、自然な高さに抑えます。その上で、顔の横に柔らかな幅を生み出すために、側頭部の髪に自然な毛流れや丸みを与えます。そして最も重要なのが、後頭部の最も高さが欲しい部分に、計算してボリュームの頂点を持ってくることです。トップの高さを抑えている分、後頭部の丸みがより際立ち、絶壁の印象を効果的に補正しながら、全体のつり合いを整えることができます。
顔の印象を大きく左右する、前髪の重要な役割
面長の印象を補正する上で、前髪のデザインは非常に重要な役割を担います。前髪を少し重めに下ろしたり、あるいは自然に斜めに流したりすることで、顔が見える面積を物理的に調整し、縦の長さを視覚的に短く見せることができます。額が完全に露出する髪型に比べて、前髪をデザインに組み込むことで、より直接的に顔の輪郭を補正し、全体の調和を完成へと近づけることが可能になります。
複雑な骨格だからこそ、私たち専門家にご相談ください
面長と絶壁という複合的な骨格のお悩みは、決まった型に当てはめるような方法では、決して解決することはできません。お客様一人ひとりの骨格の個性、髪質、そしてお顔立ちの雰囲気をあらゆる角度から正確に診断し、全ての要素を考慮に入れながら、最適なつり合いを導き出す「完全なオーダーメイド」のプロセスが不可欠です。私たちは、お客様との対話を通じて、その方だけが持つ美しさの均衡点を探し出すことを、何よりも大切にしています。お客様が抱える複雑なお悩みを、どうぞそのまま私たちにお聞かせください。
最後に
これまでご自身の骨格を、ただ隠すべき悩みとして捉えてこられたかもしれません。しかし、その複雑な個性は、見方を変えれば、あなただけの特別なスタイルを創り出すための、かけがえのない土台となり得るのです。これまでの悩みが、これからの喜びに変わる瞬間を、ぜひ私たちと分かち合わせていただけましたら幸いです。鏡を見るのが楽しみになる、新しいご自身との出会いを、誠心誠意お手伝いさせていただきます。