いつもの整髪料で仕上がりを変える、髪型作りの正しい「やり方」
毎朝の髪の整髪、皆様は、日々どのような「やり方」で、整髪料をお使いになっていらっしゃるでしょうか。おそらく多くの方が、ご自身の感覚を頼りに、手のひらに取った整髪料を、髪全体に揉みこむ、といった自己流のやり方で、日々の髪型を仕上げていらっしゃることと存じます。しかし、もし、そのいつもの「やり方」を、ほんの少しだけ、私たち髪の専門家が実践する手順に変えるだけで、まるで理容室で仕上げた時のような、見違えるほど洗練された髪型が、ご自宅で簡単に再現できるとしたら、いかがでしょうか。この記事では、皆様がお持ちの整髪料が持つ本来の能力を最大限に引き出し、日々の髪型作りを成功へと導くための、正しい「やり方」の全手順について、一から徹底的に解説してまいります。
多くの人がやりがちな、もったいない「やり方」
まず、多くの方が、ご自身では気づかないうちにやってしまっている、非常にもったいない整髪料のやり方について、いくつか例を挙げてみましょう。朝、寝癖がついたままの乾いた髪に、上から直接整髪料をつけてしまう。あるいは、「足りないよりは多い方が良いだろう」という思い込みから、一度にたくさんの量の整髪料を手に取ってしまう。こうしたやり方は、整髪料の能力を半減させてしまうだけでなく、髪がべたついたり、不自然に重くなってしまったりする、失敗の主な原因となります。
プロが実践する正しい「やり方」、その全手順
それでは、ここから、私たち髪の専門家が、日々お客様の髪を仕上げる際に実践している、基本的な整髪料のやり方を、その手順に沿ってご紹介いたします。
手順1【準備】、「濡らす」ことから始める
どのような髪型作りであっても、その成功の第一歩は、まず髪の根元からしっかりと濡らし、睡眠中についてしまった寝癖や、髪のうねりを完全にリセットすることから始まります。これが、美しい仕上がりを実現するための、揺るぎない土台となります。
手順2【土台作り】、ドライヤーで8割の形を作る
髪をリセットしたら、タオルで髪の水分をよく拭き取った後、ドライヤーを使って髪を乾かしながら、その日にご自身が作りたい髪型のシルエットを、8割方作ってしまいます。トップにボリュームが欲しいのであれば根元を立ち上げるように、サイドの広がりを抑えたいのであれば上から風を当てるように。この整髪料をつける前の「下準備」こそが、最終的な仕上がりの完成度を決定づける、最も重要な工程です。
手順3【計量と均一化】、整髪料を「最高の状態」にする
髪の土台が完成したら、いよいよ整髪料を手に取ります。ヘアワックスであれば、まずは小豆一粒大ほどの「適量」を指先に取ります。そして、指の間まで含めた、手のひら全体に、整髪料が完全に透明になるまで、徹底的に、そして均一に伸ばしてください。この「均一化」の作業が、プロの仕上がりと、自己流の仕上がりを分ける、大きな違いとなります。
手順4【塗布】、髪全体に「空気」を含ませる
手のひら全体に伸ばした整髪料を、髪につけていきます。この時、髪の表面から押さえつけるのではなく、手ぐしを髪の内側から通すようにして、髪の根元は避け、中間から毛先にかけて、髪全体に空気を含ませながら、大まかになじませていきます。一度、髪全体を軽く逆立てるようなイメージで行うと、髪一本一本に、均一に整髪料を行き渡らせることができます。
手順5【形成と仕上げ】、シルエットと細部を整える
髪全体に整髪料がなじんだら、ボリュームを抑えたい部分は手のひらで優しく撫でつけ、動きを出したい部分はご自身の指先で毛束をつまみ、全体のシルエットを整えます。この最後の仕上げの工程で、髪型に、より豊かな表情が生まれます。
なぜ、この「やり方」が重要なのか
ドライヤーで髪の土台をあらかじめ作っておくことで、整髪料は、最小限の量で、その形を「支える」だけで良くなります。そして、整髪料を手のひらで薄く均一に伸ばし、髪の内側からつけることで、髪がべたついたり、重くなったりするのを防ぎながら、髪型を内側から力強く支え、一日中崩れにくい、自然で洗練された髪型を生み出すことができるのです。
正しい「やり方」が、あなたの毎日を変える
整髪料の「やり方」とは、単なる日々の作業ではなく、ご自身の魅力を最大限に引き出すための、計算され尽くした一連の技術です。これまで「なんとなく」で済ませていた毎朝の習慣を、この記事でご紹介したプロの「やり方」に変えてみるだけで、あなたの髪型は、そしてあなたの一日の自信は、きっとこれまでとは比べ物にならないほど、大きく変わるはずです。もし、ご自身の髪質や理想の髪型に合わせた、より専門的で、あなただけの「やり方」について、直接指導を受けてみたいと思われた際には、ぜひ一度、私たち髪の専門家である理容師にご相談ください。