70代からの髪の嗜み、清潔感と品位を保つ整髪料との付き合い方
豊かなご経験を重ね、ご自身の人生を深く、そして穏やかに楽しまれる70代という、素晴らしい年代。そのような円熟の時期を迎えられた男性の身だしなみとは、若い頃のおしゃれを追い求めることではなく、その方の生き方そのものが滲み出るような、「品格」や「清潔感」を、いかに保ち続けるかという点に、その本質がございます。年齢と共に変化していくご自身の髪質と、穏やかに、そして賢く付き合っていくこと。それは、日々の生活に潤いと、健やかな自信をもたらしてくれる、大人の男性ならではの、奥深い「嗜み」といえるでしょう。この記事では、70代という素晴らしい人生のステージを、より豊かにお過ごしいただくための、整髪料との上手な付き合い方について、専門家の視点から詳しく解説してまいります。
70代の整髪、目指すは「飾らない、上質な佇まい」
まず、70代の男性が髪のお手入れをされる上で、最も大切にしていただきたい基本の理念がございます。それは、髪を力で作り込む「整髪」という考え方から、髪そのものの状態を、より良く「整える」という、新しい考え方へと、意識を移していただくことです。目指すべきは、決して華美な髪型ではございません。髪が潤いを保ち、パサつくことなく、清潔にまとまっていること。そして、そこから生まれる、飾らない、上質な佇まい。整髪料の役割とは、この理想的な状態を、あくまでさりげなく、そして優しく支えるための、名脇役であるべきなのです。
【髪の状態別】お悩みに寄り添う、優しい整髪料の選び方
年齢を重ねた髪が持つ、特有のお悩みに寄り添い、その状態をより良く見せてくれる、優しい整髪料の選び方についてご説明いたします。
白髪を、美しい「銀髪」に見せたいなら
美しく輝く白髪は、まさに人生の年輪が刻まれた、大人の男性だけの勲章です。しかし、白髪は黒髪に比べて、どうしても乾燥し、パサついて見えやすいという特性もございます。そのため、髪に豊かな潤いと、品の良い自然な艶を与えてくれる、「ヘアクリーム」や「ヘアミルク」といった、保湿効果の高い製品をお選びになることをお勧めいたします。これらの製品が、乾燥しがちな髪をしっとりとまとめ、白髪を、手入れの行き届いた、品格のある美しい「銀髪」へと、昇華させてくれます。
細くなった髪に、自然なまとまりと量感が欲しいなら
以前よりも髪が細くなってきた、あるいは、全体のボリュームが少し気になり始めた、という場合。このようなお悩みには、髪に余計な重さを与えてしまう、油分の多い整髪料は、まず避けるべきです。ごく軽い質感の「ヘアクリーム」や、セットする力のごく穏やかな「ソフトタイプのワックス」などを、本当にごく少量だけお使いになり、髪全体のまとまりを出す、という程度に留めるのが賢明です。
健やかな頭皮こそ、すべての基本
どのような整髪料をお使いになるか、ということ以上に、この年代の皆様に大切にしていただきたいのが、髪を育む土壌である、「頭皮」そのものの健康です。年齢と共に、頭皮は乾燥しやすく、またデリケートな状態になりがちです。日々のシャンプーは、洗浄力が強すぎるものは避け、必要な潤いを守りながら、優しく洗い上げる、頭皮への配慮がなされた製品をお選びください。また、洗髪後に、頭皮専用の化粧水である「ヘアトニック」などで、頭皮に潤いを補給し、優しくマッサージをしてあげる習慣は、これからの髪の健康を守る上で、非常に有効な手段となります。
大人の嗜みとしての、日々の髪のお手入れ
70代の整髪は、決して難しいものではございません。お使いになる整髪料は、米粒ほどの、本当にごく少量で十分です。それを手のひらでよく温め、髪の表面を、そっと撫でるようにして、全体のまとまりを出す。たったそれだけのことで、あなたの印象は、驚くほどきちんとしたものに変わります。また、日々の習慣として、柔らかい毛質のブラシを使い、頭皮を優しくいたわるように、丁寧にブラッシングを行うことも、髪に自然な艶とまとまりを与えてくれる、素晴らしいお手入れの一つです。
年輪が刻む、揺るぎない品格
70代からの髪のお手入れとは、ご自身の長い人生が醸し出す、揺るぎない品格を、その外見にも美しく反映させるための、素晴らしい自己表現の一つです。それは、ご自身を大切にし、毎日を健やかに、そして豊かに過ごすという、前向きな心の表れともいえるでしょう。もし、ご自身の現在の髪や頭皮の状態に、本当に合った、最も優しいお手入れの方法について、専門家からの助言が必要でしたら、どうぞいつでも、私たち理容師にお声がけください。皆様の素晴らしい人生のステージに、髪という側面から、そっと寄り添わせていただければ幸いです。