髪型を崩さない「ホールド力」、その意味と最大限に引き出す整髪術
毎朝、鏡の前で時間をかけて作り上げた、ご自身こだわりの髪型。その完璧な状態を、一日を通して少しでも長く維持したいと願うのは、ご自身の身だしなみに気を配る、すべての男性に共通する切実な思いではないでしょうか。その願いを叶えるための、最も重要な鍵となるのが、整髪料が持つ「ホールド力」という性能です。しかし、ただホールド力が強いと謳われている製品を選べば、それで全てが解決するというわけではございません。その言葉が持つ本当の意味を深く理解し、ご自身の髪質に合った正しい技術で使いこなしてこそ、その真の力は発揮されるのです。この記事では、「ホールド力」とは一体何なのか、その本質から、ご自身の髪型に必要なホールド力を実現するための整髪料の選び方と、その専門的な使い方について、詳しく解説してまいります。
「ホールド力」とは、そもそもどのような力か
まず、「ホールド力」という言葉の、基本的な定義についてご説明いたします。ホールド力とは、英語の「Hold」、すなわち「掴む、保持する」という言葉が語源となっており、文字通り、作り上げた髪の形や毛束を、その場で「掴んで離さない力」、あるいは、髪の根元の立ち上がりなどを、重力に逆らって下から「支え続ける力」のことを指します。これは、単に髪の表面を固めるというだけでなく、ご自身が作り上げた髪型全体の構造そのものを、一日中維持するための、非常に重要な性能ということができます。
「ホールド力」を誇る代表的な整髪料の種類
整髪料の中でも、特にこのホールド力の高さで知られている代表的な種類が、いくつかございます。
ヘアスプレー(ハードタイプ)
作り上げた髪型全体の「面」を支え、維持するホールド力において、最も優れた存在がヘアスプレーです。ヘアワックスなどで作った髪型を、目には見えない網のように覆い、湿気や風といった外部からの力から、その形を完璧に保護します。
ヘアジェル
髪そのものを、濡れたような質感でパリッと固めることで、髪型を一つの「立体」として強力に固定する、非常に強いホールド力を持っています。一度固まってしまえば、少々のことではほとんど崩れることがありません。
ハードワックス(特にクレイタイプ)
髪の「点」と「線」、すなわち毛先の繊細な動きや、シャープな毛束感を、強力に掴んで維持するホールド力が、この種類の最大の特徴です。ジェルやスプレーほどの絶対的な固定力はありませんが、動きのある髪型を支える力は随一といえるでしょう。
髪質に合わせた、最適な「ホールド力」の選び方
ご自身の髪質によって、求められるホールド力の種類や強さは異なってまいります。例えば、髪が硬く、太い髪質の方は、髪そのものが元に戻ろうとする力が非常に強いため、それに打ち勝つだけの、極めて強力なホールド力を持つヘアジェルや、ハードワックスの中でも特にセットする力の高いものが必要となります。一方で、髪が細く、柔らかい髪質の方は、強いホールド力は必要ですが、同時に整髪料そのものの「重さ」で髪が潰れてしまわないよう、細やかな配慮が求められます。このような髪質の方には、軽い質感でありながら高いホールド力を持つクレイ系のワックスや、仕上げのハードスプレーで、ふんわりとした形を外側から支えてあげる、という組み合わせが有効です。
整髪料のホールド力を最大限に引き出す、プロの技術
最強のホールド力を生み出すための、最も重要な源泉は、実は整髪料そのものではなく、それをお使いになる前の、ドライヤーにございます。髪を乾かす際に、ご自身が作りたい髪型の根元の立ち上がりや、全体の毛流れを、ドライヤーの熱を使って徹底的に髪に記憶させてください。この「土台」がしっかりしていればいるほど、その後の整髪料は、その形を支えるだけで良くなり、結果として、一日中崩れることのない、盤石のホールド力が生まれるのです。また、ヘアワックスで形を作った後に、ハードスプレーで全体を固定するといった、異なる種類の整髪料を効果的に組み合わせることで、それぞれの長所が活かされ、より信頼性の高いホールド力が実現します。
崩れない自信を、ホールド力と共に
整髪料が持つ「ホールド力」とは、製品が持つ本来の性能と、それを最大限に活かすための専門的な使い方、特にドライヤーによる丁寧な下準備が組み合わさって初めて、その真価が発揮されるものです。髪型が崩れないという確かな安心感は、その日一日を、余計な心配をすることなく、ご自身のやるべきことに集中し、自信を持って過ごすための、大きな力となってくれるはずです。もし、ご自身の髪質や理想の髪型を、完璧にホールドするための最適な整髪料の選び方や、より高度な技術について、専門家からの助言が必要でしたら、どうぞお気軽に、私たち髪の専門家である理容師にご相談ください。