長髪の魅力を最大限に、だらしなく見せないための整髪料の選び方と使い方
ご自身の個性や、独特の世界観を表現することができる長い髪は、男性の髪型の中でも、ひときわ強い存在感を放つ、非常に魅力的な選択肢の一つです。しかしその一方で、ほんの少しお手入れを間違えてしまうと、「ただ伸ばしているだけ」に見えてしまったり、意図せずして清潔感を損なってしまったりする、大変に繊細な髪型であるという側面も持ち合わせています。長髪をおしゃれに見せるか、あるいはだらしなく見せてしまうかの大きな分かれ道は、ご自身の髪質と、その日のなりたい髪型に合った「整髪料」を、正しく選んで使えているかどうかにかかっているのです。この記事では、長髪の男性が、その魅力を最大限に引き出すための、整髪料選びの基本的な考え方と、具体的な整髪の方法について、髪の専門家である理容師の視点から詳しく解説してまいります。
長髪の整髪料選びで重視すべき三つのこと
短髪の整髪とは異なり、長髪の整髪料選びには、その長さを美しく見せるための、いくつかの特別な視点が必要となります。
広がりを抑える「まとまり」
長い髪は、その長さゆえに、乾燥や空気中の湿気によって、どうしても広がりやすくなります。まずは、髪全体の広がりを優しく抑え、しなやかで落ち着きのある「まとまり」を与えることが、清潔感のある長髪スタイルの基本となります。
品格を高める「質感」
髪が持つ面積が大きい分、髪そのものの「質感」が、全体の印象を大きく左右します。パサつきを抑え、自然で上品な艶を与えることで、日々の手入れが行き届いているという印象を与え、長髪ならではの品格を高めることができます。
重く見せない「軽やかな動き」
髪をただまとめるだけでなく、固めすぎずに、髪が風や体の動きに合わせて自然に揺れるような、軽やかな動きや毛束感を加えてあげることで、「ただの伸ばしっぱなし」ではない、計算されたおしゃれな雰囲気を表現することができます。
【目的別】長髪におすすめの整髪料の種類
上記の三つの目的別に、長髪に特に推奨される整髪料の種類をご紹介いたします。
自然な「まとまり」と「質感」を求めるなら(ヘアクリーム、ヘアオイル)
長髪の整髪における、最も基本的で重要な役割を担うのが、この二つの種類です。髪に潤いを与え、パサつきや広がりを抑えるのに最適で、「ヘアクリーム」は髪にしなやかなまとまりを、「ヘアオイル」は最高の艶と滑らかな指通りを与えてくれます。
柔らかな「動き」や「束感」を加えたいなら(ソフトワックス、ヘアバーム)
髪をまとめるだけでなく、毛先などに少しだけ動きが欲しい、という場合に有効な選択肢です。髪を固めすぎることのない「ソフトワックス」や、自然な束感と艶を両立させることができる「ヘアバーム」などを毛先中心に優しく使うことで、髪型全体に豊かな表情が生まれます。
パーマのウェーブを活かしたいなら(ヘアフォーム、ヘアグリース)
パーマをかけていらっしゃる長髪の方には、その美しいウェーブを再現するための整髪料が適しています。濡れた時のようなカールを再現してくれる「ヘアフォーム(ムース)」や、艶のあるしなやかなカールを表現できる「ヘアグリース」などが、その代表例です。
長髪を美しく見せるための、整髪料の使い方
髪が長い分、整髪料を髪全体に均一になじませるためには、少しの工夫が必要となります。まず、整髪料をつける最適なタイミングは、お風呂上がりのタオルで乾かした後の、髪がまだ水分を適度に残している「半乾き」の状態です。乾ききった髪よりも、整髪料が髪全体に薄く、そして均一に伸び広がりやすくなります。そして、手のひらに伸ばした整髪料を、いきなり髪の表面からつけるのではなく、まず髪の内側、襟足の辺りから手ぐしを通すようにしてつけ始め、その後、徐々に髪全体になじませていくのが、プロが実践する基本的な手順です。これにより、髪の表面だけがべたつくことなく、内側の広がりからもしっかりと抑えることができます。
正しい手入れで、長髪を最高の個性へ
長い髪は、何もしなければ、その魅力が半減してしまうこともございます。しかし、ほんの少しの手間と、ご自身の髪質に合った正しい整髪料を選ぶことで、他の誰にも真似することのできない、あなただけの最高の個性と、洗練された魅力に昇華させることができるのです。その日の服装や気分に合わせて、髪の質感や動きを自由に操る楽しみを、ぜひ知っていただきたいと存じます。もし、ご自身の髪質や、目指していらっしゃる長髪の髪型に本当に合った整髪料の選び方について、より専門的な助言が必要でしたら、どうぞお気軽に、私たち髪の専門家である理容師にご相談ください。あなたの長髪での毎日が、より豊かなものになるよう、心を込めてお手伝いさせていただきます。