美しい毛染めを長く楽しむために、整髪料選びで知っておきたいこと
ご自身の個性を表現するためのおしゃれの選択肢として、毛染め、すなわちヘアカラーは男性にとってもすっかり定着しました。こだわりを持って選んだ、その特別な髪色だからこそ、一日でも長く、そして染めたての最高の状態で楽しみたいと願うのは、誰もが抱く自然な気持ちでしょう。しかしその一方で、「普段何気なく使っている整髪料が、もしかしたら髪色の褪色に関係しているかもしれない」と、ふと考えたことはございませんでしょうか。この記事では、大切な髪色を守り、その魅力をさらに引き出すための、毛染めをしている時の整髪料との上手な付き合い方について、専門家の視点から詳しく解説してまいります。
整髪料は毛染めの色落ちに直接影響するのか
まず、皆様が最も懸念されているであろう点について、明確にお答えいたします。一般的な整髪料に含まれている成分が、髪の内部にある染料を化学的に分解し、直接的に色を落としてしまうということは、まずございません。色落ちが起こる本当の原因は、整髪料そのものではなく、主に「洗浄の過程」と、紫外線や熱といった「日々のダメージの蓄積」にあります。例えば、セットする力の強い整髪料を洗い落とすために、必要以上にゴシゴシと髪をこすったり、洗浄力の強すぎるシャンプーを毎日使ったりすると、髪の表面を鎧のように保護しているキューティクルが傷つき、剥がれ落ちてしまいます。その傷ついたキューティクルの隙間から、内部に留まっていた色素が、日々のシャンプーのたびに少しずつ流れ出てしまうのです。
毛染めをした髪に最適な整髪料の選び方
毛染めをした後の髪は、薬剤の影響によって、どうしても普段より乾燥しやすくデリケートな状態にあります。そのため、整髪料を選ぶ際には、髪をいたわり、色持ちを良くするための特別な視点を持つことが大切です。
潤いを補給し、髪を保護するものを選ぶ
まず基本となるのは、髪に潤いを補給し、ダメージを補修してくれる成分が含まれた整髪料を選ぶことです。保湿効果の高いヘアクリームやヘアミルク、あるいは髪の表面を優しく覆ってくれるヘアオイルなどは、髪をケアしながら整えることができるため、毛染め後の髪に最適な選択肢といえます。
洗浄時の負担を減らす「落としやすさ」で選ぶ
色落ちの大きな引き金となる「洗いすぎ」を防ぐためには、お湯や優しい洗浄力のシャンプーで簡単に洗い流せる、水溶性の整髪料を選ぶことが非常に有効です。水性のグリースやジェルなどは、洗浄時の髪への物理的な負担を大きく減らしてくれます。
日中の外的要因から守る機能で選ぶ
見過ごされがちですが、褪色の大きな原因となるのが、毎日降り注ぐ紫外線です。日中の屋外での活動が多い方は特に、紫外線から髪を守る効果を持つ成分が含まれた製品を選ぶことは、美しい髪色を保つための賢い選択といえるでしょう。
染めた髪色をより一層美しく見せる整髪術
整髪料は、髪色を守る「守り」の役割だけでなく、その髪色をより魅力的に見せる「攻め」の道具としても大きな力を発揮します。その鍵となるのが、「艶」と「動き」です。髪に上品な艶があると、光がその表面で美しく反射し、染めた髪色がより深く、鮮やかに見えます。ヘアグリースやヘアオイル、艶出し用のワックスなどを効果的に活用することで、髪色の魅力を最大限に引き出すことができます。また、特にハイライトなど、複数の色を使ったデザインの場合は、ワックスなどで毛束感や毛先の動きを作ることで、色の対比が際立ち、髪型全体がより立体的に、豊かな表情を見せてくれます。
美しい髪色を保つための基本的なお手入れ
どのような整髪料を選んだとしても、美しい髪色を保つためには、日々の基本的なお手入れが不可欠です。毛染めをした髪専用に開発された、洗浄力が穏やかで色落ち防止成分が配合されたシャンプーやトリートメントを使用することが、その基本中の基本となります。また、髪を洗う際のお湯が熱すぎるとキューティクルが開きやすくなるため、少しぬるいと感じる程度のお湯で洗うこと、そしてお風呂から上がった後は、髪が濡れたままの時間を極力短くし、速やかに乾かすこと。そうした日々の小さな習慣の積み重ねが、大切な髪色を長く保つための大きな力となります。
適切な整髪料選びで、こだわりの髪色をいつまでも
毛染めをした髪のおしゃれは、その後の整髪料の選び方と、日々の正しいお手入れによって、その輝きをより長く保つことができます。それは、ご自身の髪と丁寧に向き合う、愛情の表れともいえるでしょう。もし、ご自身の現在の髪の状態や理想の髪色に、どのような整髪料やお手入れ品が本当に最適なのか、お迷いになった際には、ぜひ一度、私たち髪と色の専門家である理容師にご相談ください。お客様一人ひとりの髪を最高の状態に保つための、専門的な製品と知識をご用意して、皆様のお越しをお待ちしております。