悩みを個性に変える、くせ毛のための整髪料の選び方と活かし方
「雨や湿気の多い日になると、決まって髪がまとまらない」「朝に整えても、意図しない方向に髪がはねてしまう」。生まれつきのくせ毛をお持ちの方にとって、日々の髪のお手入れは、時に悩みの種となることもあるかもしれません。多くの方が、その扱いにくさに頭を悩ませていらっしゃることでしょう。しかし、見方を変えれば、そのくせ毛は、直毛の方にはない独自の動きや柔らかな質感を持つ、あなただけの素晴らしい個性ともいえます。その成功の鍵は、ご自身のくせ毛が持つ特性を深く理解し、その日の目的やなりたい髪型に合った整髪料を正しく選んで使いこなすことにあります。この記事では、くせ毛を「魅力的な動き」として活かす方法と、「広がりやうねり」をしなやかに抑える方法、その二つの視点から、最適な整髪料選びについて詳しく解説してまいります。
まずはご自身の「くせ」の性質を知ることから
一口にくせ毛といっても、その性質は人によって様々です。波のように大きくうねるタイプの方もいれば、より細かく縮れるようなタイプの方もいらっしゃいます。また、髪全体が乾燥して広がりやすいのか、あるいは空気中の湿気を含むことで特にうねりが強くなるのかなど、ご自身の髪がどのような状況で扱いにくくなるのかを日頃から観察し、把握しておくことが、最適な整髪料選びのための重要な第一歩となります。
くせ毛を「魅力的な動き」として活かす整髪料
ご自身のくせを、まるでパーマをかけたかのような自然な動きとして魅力的に見せたい。そうお考えの場合に選ぶべき整髪料の合言葉は、「潤い」と「柔軟性」です。髪がパサついていると、くせはただのまとまりのない髪に見えてしまいがちですが、そこに潤いと艶が加わることで、途端に上品で計算された動きへと昇華します。
ヘアグリース(水性)
髪に濡れたような艶とまとまりを与えつつ、固めすぎることがないため、くせ毛が本来持つ柔らかな動きを損なうことがありません。パーマ風の艶やかな髪型を作るのに最適です。
ヘアクリームやヘアミルク
髪に潤いをたっぷりと補給し、パサつきを抑えながら、ごく自然な毛束感を作りたい場合に適しています。作り込みすぎない、あくまでもナチュラルな髪型に向いています。
ヘアフォーム
いわゆるムースと呼ばれる整髪料です。濡れた髪に優しく揉みこむようにして使うことで、くせによるうねりをくっきりと再現し、それを一日中維持する手助けをしてくれます。
広がりやうねりを「しなやかに」抑える整髪料
その日の気分や場面によっては、くせをできるだけ抑え、まとまりのある落ち着いた髪型にしたい、という日もあることでしょう。そのような場合に選ぶべき整髪料の合言葉は、「適度な重さ」と「保湿」です。ある程度の重みを持つ整髪料で髪の広がりを物理的に抑制し、同時に髪を保湿することで外部の湿気の影響を受けにくい状態を作ります。
ヘアオイル
髪一本一本の表面を良質な油分の膜で覆うことで、髪の内部の水分が逃げるのを防ぎ、同時に空気中の余計な湿気が髪の内部に侵入するのを防いでくれます。髪に適度な重みを与え、艶のあるまとまりやすい状態へと導きます。
セット力の高いヘアクリーム
保湿効果と、ある程度のセットする力を兼ね備えたクリームは、髪をしなやかにまとめながら、気になるうねりや広がりを抑制するのに効果的です。
くせ毛を扱うための整髪料の使い方
くせ毛を「活かす」場合でも「抑える」場合でも、共通する上手な使い方のこつがございます。まず、整髪料は髪が乾ききる前の、タオルで乾かした後の少し湿っている状態でつけるのが基本です。これにより、整髪料が髪全体に均一になじみ、髪の水分を閉じ込めながら思い通りの形を作ることができます。また、髪を乾かす際には、ドライヤーの風を髪の根元から毛先に向かって、髪の表面をなでるように当てることが重要です。下から煽るように乾かしてしまうと、キューティクルが逆立ち、うねりや広がりを助長する原因となりますのでご注意ください。
くせ毛は、あなただけの最高の個性
多くの方を悩ませるくせ毛ですが、それは決して短所ではありません。正しい知識と、ご自身の髪に合った最適な整髪料という名のパートナーを見つけ出すことができれば、他の誰にも真似することのできない、あなただけの魅力的な個性に変えることができるのです。「活かす」日も「抑える」日も、その日の気分で自由に髪型を操れるようになれば、日々の髪のお手入れはもっと楽しく、創造的なものになるはずです。もし、ご自身のくせ毛の性質に本当に合った整髪料はどれなのか、また、それを最大限に活かすための専門的な技術についてお知りになりたい場合は、ぜひ一度、私たち髪の専門家である理容師にご相談ください。お客様一人ひとりのくせ毛と真剣に向き合い、その悩みを魅力に変えるためのお手伝いをさせていただきます。