ヘアオイルでべたつかない髪へ。軽やかに仕上げるための選び方と使い方
「ヘアオイルは髪に良いと聞くけれど、べたついてしまうのが心配で、なかなか手が出せない」「以前使ってみた時、髪が重たくなってしまい、それ以来使っていない」。このように、ヘアオイルに対して「べたつき」という、あまり良くない印象をお持ちの男性は、決して少なくありません。しかし、その悩みは、製品の「選び方」と日々の「使い方」に関する、ほんの少しの知識で、驚くほど簡単に解決することが可能です。この記事では、理容師の視点から、絶対にべたつかせずに、軽やかで清潔感のある髪を手に入れるための秘訣を、詳しく解説いたします。
ヘアオイルがべたつく主な二つの原因
まず、なぜヘアオイルで髪がべたついてしまうのか、その原因を知ることが大切です。失敗の主な原因は、大きく二つに分けられます。
一つ目は、ご自身の髪質に合わない「重い」タイプのオイルを選んでしまっていることです。ヘアオイルには、保湿力重視の「しっとり・重いタイプ」と、指通り重視の「サラサラ・軽いタイプ」があります。髪が細い方や、元々皮脂の分泌が多い方が重いタイプのオイルを使うと、油分が過剰になり、べたつきやすくなります。
二つ目は、使用する「量」と「場所」が間違っていることです。これが最も多い失敗の原因と言えるでしょう。良かれと思って付けすぎてしまったり、本来付ける必要のない髪の根元にまで塗布してしまったりすることが、べたつきの直接的な引き金となるのです。
べたつかないヘアオイルの選び方
べたつきを避け、軽やかな仕上がりを目指すための製品選びは、非常に重要です。まず注目すべきは、オイルそのものの「質感」です。手のひらに出した時に、水のように軽く、すっと伸びるような「ライトな質感」のオイルを選ぶのが基本です。製品の表示に「サラサラ」「ライトタイプ」「軽やか」といった言葉が記載されているものが、一つの目安となるでしょう。一般的に、付けた後の油分が髪に余分に残留しにくいように設計されたオイルが、べたつきにくい傾向にあります。
絶対にべたつかせないための使い方の鉄則
理想の軽やかな髪を実現するためには、選び方以上に使い方が重要です。以下の三つの鉄則をぜひ実践してみてください。
鉄則の一つ目は、使用量を「最小限」から始めることです。特に短い髪の男性であれば、「米粒一粒分」ほどの、ごくわずかな量から試すくらいの慎重さが求められます。足りなければ後から足すことはできますが、一度付けすぎてしまうと元に戻すのは困難です。
鉄則の二つ目は、付ける場所を「耳から下の毛先」だけに限定することです。髪の根元から数センチの部分は、ご自身の皮脂で十分に潤っています。ここにオイルを付ける必要は全くありません。乾燥やダメージが気になる毛先のみに付ける、と心得ましょう。
鉄則の三つ目は、手のひらで「完全に」伸ばしきることです。手に取ったオイルを、両手のひらから指の間にまで、オイルの液体感がなくなるくらい薄く、透明な膜になるまで広げます。この膜を髪にそっと移すようなイメージでなじませることで、一部分だけが重くなるのを防ぎ、均一で美しい仕上がりになります。
まとめ
ヘアオイルで「べたつかない」髪を実現する鍵は、「軽いタイプのオイル選び」と、「少量・毛先限定・薄く伸ばすという使い方の徹底」にあります。これまでヘアオイルに対して抱いていたかもしれないネガティブな印象も、正しい知識と実践によって、きっと覆されるはずです。しかし、お客様の髪質や長さに応じた最適なオイルや、そのための正確な使用量を、ご自身だけで見極めるのは簡単なことではありません。私たち理容師は、プロの目でそれらを的確に診断し、ご提案することができます。べたつくのが怖くてヘアオイルを諦めていた方にこそ、サロンでしか体験できない本物の軽やかな仕上がりを、ぜひ一度お試しいただきたいと願っています。