ヘアオイルで髪がごわつく?その原因と、しなやかさを取り戻す方法
髪を滑らかにし、潤いを与えるはずのヘアオイルを使ったにもかかわらず、かえって髪が「ごわつく」、あるいは硬くなったように感じてしまった。そんな、予期せぬ、そして非常に残念な経験をされたことはないでしょうか。「自分の髪には、ヘアオイルは合わないのかもしれない」と、使うのをやめてしまった方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その不快な「ゴワゴワ」「ごわつき」は、多くの場合、オイルそのものが悪いのではなく、髪の状態と、オイルの使い方との間に、少しだけすれ違いが起きていることが原因です。この記事では、ヘアオイルで髪がごわついてしまう原因を解き明かし、髪本来のしなやかさを取り戻すための正しいお手入れについて、理容師の視点から詳しく解説いたします。
なぜ、オイルで髪がごわついてしまうのか
ヘアオイルを使った後に髪がごわつくと感じられる、その最も大きな原因は、髪が「深刻な水分不足」に陥っていることにあります。
特に、度重なるヘアカラーやブリーチ、あるいは毎日のヘアアイロンの使用などによってハイダメージを受けた髪は、内部の水分を保持する力が極端に低下しています。いわば、乾ききったスポンジのような状態です。この、水分が失われ、硬くなってしまった髪に、いきなり油分であるヘアオイルだけを与えても、油分は髪の内部にうまく浸透することができません。結果として、油分が髪の表面で不均一に付着し、指通りを悪くさせ、ごわついた不快な手触りを生み出してしまうのです。
また、ご自身の髪質に対して、コーティング作用が強すぎるオイルを選んでしまっている場合や、古いオイルが髪に蓄積している場合にも、同様の現象が起こることがあります。
ごわつきをなくすための、正しいお手入れの順序
この問題を解決するための鍵は、オイルを付ける前の「水分補給」にあります。髪に油分を与える前に、まずは髪の内部を水分で満たし、柔らかい状態に戻してあげることが何よりも重要です。
最も効果的なのは、夜、お風呂上がりの濡れた髪にヘアオイルを使うことです。洗髪後の髪は、水分をたっぷりと含んでおり、オイルの成分が浸透しやすい最適な状態にあります。
まず、タオルで髪を優しく押さえるようにして、余分な水気をしっかりと拭き取ります。この時、まだ髪はしっとりと湿っている状態です。その髪に、適量のヘアオイルをなじませてみてください。乾いた髪に付けた時とは全く違う、オイルがすっと髪に浸透していくような、滑らかな感触が得られるはずです。オイルが、髪内部の水分に蓋をし、潤いを閉じ込める役割を果たしてくれます。その後、ドライヤーで髪を乾かせば、ごわつきとは無縁の、しなやかで潤いのある髪に仕上がります。
深刻な乾燥には、オイルの前の「一手間」
もし、濡れた髪にオイルを付けてもまだごわつきが残るほど、髪の乾燥が深刻な場合は、オイルの前に「ヘアミルク」などの水分を豊富に含んだ洗い流さないトリートメントを先に使う、という応用技も非常に有効です。まずヘアミルクで髪の内部に徹底的に水分を補給し、その上からヘアオイルで蓋をする。この二段階のお手入れが、ハイダメージヘアを蘇らせるための、専門的な手法です。
髪の状態を見極める、専門家の視点
髪がごわつくという現象は、あなたの髪が「助けを求めている」という、重要なサインです。その髪が本当に必要としているのが、水分なのか、油分なのか、あるいはその両方なのか。そして、どのような種類のオイルが最適なのか。その原因と解決策を、ご自身だけで正確に判断するのは、非常に難しいことかもしれません。
私たち髪の専門家である理容師は、お客様の髪の状態をプロの目で正確に診断し、その髪をごわつかせる根本的な原因を見つけ出すことができます。そして、数ある高品質なサロン専売品の中から、その髪を最も効果的に、そして確実にしなやかな状態へと導くための一本と、そのための正しいお手入れの方法を、責任をもってご提案させていただきます。
まとめ
もし、ヘアオイルを使って髪がごわついてしまったとしても、どうか諦めないでください。それは、あなたの髪とオイルの相性が悪いのではなく、髪が潤いを求めているという大切な合図です。まずは、お風呂上がりの濡れた髪に使う、という基本に立ち返ってみてください。そして、もしそれでも改善されないようであれば、ぜひ一度、私たち専門家にご相談ください。あなたの髪が本来持つ、滑らかで美しい質感を、きっと取り戻すことができるはずです。