ヘアオイルに放置時間は必要?効果を高める正しい「なじませ方」とは
ヘアオイルを使い始めた方や、より効果的な使い方を模索している方から、「オイルを塗った後、成分が浸透するまで、しばらく放置時間を置いた方が良いのでしょうか」というご質問をいただくことがあります。トリートメントなどでは一定の時間を置くことが多いため、ヘアオイルにも同じように放置時間が必要だとお考えになるのは、ごく自然な疑問です。しかし、実は一般的なヘアオイルの使い方において、この「放置時間」という考え方は少し異なります。この記事では、ヘアオイルと時間の関係について、髪の専門家である理容師の視点から詳しく解説いたします。
基本的な使い方:「放置時間」は不要です
まず、最も基本的な結論から申し上げますと、現在主流となっている洗い流さないタイプのヘアオイルにおいて、お風呂で使うトリートメントのように、塗布後に洗い流すことを前提とした「放置時間」は、原則として必要ありません。
洗い流さないヘアオイルは、髪に塗布した後、そのまま髪に留まり続けることで、その効果を持続的に発揮するように設計されています。例えば、夜、お風呂上がりの濡れた髪に使う場合は、オイルをなじませた後、時間を置かずにそのままドライヤーで乾かし始めて問題ありません。オイルは、ドライヤーをかけている最中も、そして乾いた後も、熱や乾燥、摩擦から髪を守り、潤いを保つという役割を果たし続けてくれます。
また、朝、乾いた髪に整髪料として使う場合も同様です。オイルをなじませて、そのまま髪型を整えれば、すぐに艶やまとまりといった効果を実感できます。時間を置く必要はありません。
「放置時間」よりも重要な「なじませる」技術
ヘアオイルの効果を引き出す上で、「放置時間」を気にするよりも、遥かに重要なことがあります。それは、オイルを髪に「いかに均一に、そして丁寧になじませるか」という技術です。
手に取ったオイルを、まず両方の手のひらから指の間にまで、薄く完全に伸ばします。そして、最もケアが必要な毛先から付け始め、髪の内側から手ぐしを通すようにして、髪一本一本にオイルを行き渡らせるようなイメージで、優しくなじませていきます。この「なじませる」工程を丁寧に行うことこそが、オイルの効果を最大限に引き出すための、最も大切な時間なのです。
特別なお手入れとしての「オイルパック」という考え方
ただし、一つだけ「放置時間」が有効な、特別なお手入れの方法があります。それは、特に髪のダメージが深刻な場合に行う「オイルパック」です。これは、シャンプーをする前の乾いた髪に、普段より少し多めのヘアオイルを丁寧になじませ、蒸しタオルなどで髪全体を包み込み、10分から15分ほど時間を置く、という集中ケアです。
この「放置時間」を設けることで、蒸気の力も加わり、オイルの補修成分が髪の内部までより深く浸透しやすくなります。時間を置いた後は、通常通りシャンプーをして、オイルを洗い流してください。ただし、この方法は全てのヘアオイルに適しているわけではなく、あくまでも定期的に行う特別なお手入れとして捉えるのが良いでしょう。
あなたの髪に最適な時間は、専門家が知っている
ここまでご説明した通り、ヘアオイルとの付き合い方には、放置時間を必要としない「日々の基本的な使い方」と、放置時間を設ける「特別な集中ケア」の二つの側面があります。ご自身の髪の状態が、どちらのケアを、どのくらいの頻度で必要としているのか。そして、お使いのオイルがオイルパックに適しているのかどうか。そうした専門的な判断は、ご自身で行うのは難しいかもしれません。
私たち髪の専門家である理容師は、お客様の髪質やダメージの状態を正確に診断し、その髪にとって最も効果的なお手入れの方法と、それに最適な製品をご提案することができます。
まとめ
日々の基本的な使い方において、ヘアオイルに特別な「放置時間」は必要ありません。大切なのは、塗布後に時間を置くことよりも、いかに丁寧になじませるか、という意識です。そして、より高度なケアとして、オイルパックという選択肢があることも、ぜひ覚えておいてください。ご自身の髪に最適なケアの方法と、そのための時間に迷われた際は、どうぞお気軽に、私たち専門家にご相談ください。