ヘアオイルとトリートメントの違いは?髪質で選ぶ最適なケアの形
髪のお手入れに関心を持つ男性が増えるにつれて、「ヘアオイル」や「トリートメント」といった言葉を日常的に耳にするようになりました。しかし、この二つの関係性については、「ヘアオイルはトリートメントの一種なの?」「洗い流さないトリートメントとは、また別のものなの?」といったように、少し複雑に感じていらっしゃる方も少なくないようです。実は、この関係性を理解することは、ご自身の髪に本当に必要な手入れを見つけるための、非常に重要な第一歩となります。この記事では、その関係性を分かりやすく解き明かし、最適な髪のお手入れ方法を見つけるための知識を、理容師の視点から解説いたします。
まず理解したい「洗い流さないトリートメント」という大きな枠組み
まず、ヘアオイルとトリートメントの関係を理解するために、「トリートメント」には大きく分けて二つの種類があることを知っておきましょう。一つは、お風呂の中でシャンプーの後などに使い、最終的に洗い流す「インバスタイプ」。そしてもう一つが、お風呂上がりのタオルで拭いた後の髪などに使い、洗い流す必要のない「アウトバスタイプ」です。
今回、ヘアオイルとの関係で重要となるのが、この「アウトバスタイプ」、すなわち「洗い流さないトリートメント」です。結論から申し上げますと、「ヘアオイル」とは、この「洗い流さないトリートメント」という大きなカテゴリの中に含まれる、オイル形状をした製品の一種なのです。
洗い流さないトリートメントの主な種類と特徴
「洗い流さないトリートメント」には、ヘアオイルの他にも、いくつかの代表的な種類が存在します。それぞれの特徴を知ることで、ご自身の髪には何が最適なのかが見えてきます。
まず、油分が主成分である「オイルタイプ」。これは、髪の表面を覆う、つまりコーティングする力に非常に優れています。髪に美しい艶を与えたり、指通りを滑らかにしたり、そしてドライヤーの熱や紫外線といった外部の刺激から髪を保護するのを得意としています。
次に、水分と油分がバランス良く配合された、乳液状の「ミルクタイプ」。こちらは、髪の内部に水分と補修成分を届けやすく、髪を内側から潤し、柔らかくしなやかな状態に整えることを得意としています。
そして、ミルクタイプよりも油分が多く、よりこってりとした質感を持つのが「クリームタイプ」です。高い保湿力で髪をしっとりとまとめ上げ、深刻なダメージを補修する能力に長けています。
あなたの髪にはどのタイプが最適か
では、ご自身の髪には、どの種類のトリートメントが最も適しているのでしょうか。それは、あなたの髪質と、髪に何を一番求めているかによって決まります。
例えば、髪に美しい艶や、サラサラとした指通りが欲しい方、あるいは髪が細く柔らかい方は、軽い質感の「オイルタイプ」がおすすめです。
髪が乾燥してパサつき、ごわつきを感じる方には、内部に水分を補給しやすい「ミルクタイプ」が、髪に柔らかさをもたらしてくれるでしょう。
そして、髪が硬く、量が多くて広がりやすい方や、毛染めやパーマによる深刻なダメージにお悩みの方は、髪をしっかりとまとめ、補修する力の強い「クリームタイプ」、あるいは保湿効果の高い重めの「オイルタイプ」が適しています。
異なるタイプの併用で、より高度なケアを
さらに一歩進んだお手入れとして、これらの異なる種類を組み合わせて使うことも非常に効果的です。例えば、夜、髪を乾かす前には、内部補修を得意とする「ミルクタイプ」や「クリームタイプ」を使って髪の基礎体力を高め、そして朝、整髪の仕上げには、表面を保護して艶を出す「オイルタイプ」を使う、といった目的とタイミングでの使い分けです。これにより、それぞれの長所を最大限に活かした、完璧なお手入れが実現します。
まとめ
「ヘアオイル」は、「洗い流さないトリートメント」という大きな家族の中の、代表的な一員です。そして、その家族には、ミルクやクリームといった、それぞれに異なる得意分野を持つ、頼もしい仲間たちがいます。あなたの髪に今本当に必要なのは、油分による「保護」なのか、それとも水分による「補修」なのか。その的確な診断と、最適な製品のご提案こそが、私たち髪の専門家である理容師の役割です。トリートメント選びに迷われた際は、ぜひ一度、ご自身の髪の健康診断を受けに来るような気持ちで、サロンにご相談ください。