YouTubeで学ぶジェルスタイリング。動画を観て上手くなるための着眼点
今や、メンズのヘアスタイリングを学ぶ上で、ユーチューブは最も身近で優れた教科書の一つとなりました。数多くの美容師やスタイリストが、様々なヘアジェルを使ったスタイリング方法を動画で分かりやすく解説しており、多くの方がそれらを参考に日々のヘアセットに取り組んでいることと存じます。
しかしその一方で、「動画で観る通りにやっているつもりでも、なぜか同じように仕上がらない」「お手本は格好良いのに、自分の髪だとなぜか不自然に見えてしまう」といった、共通のお悩みを抱えている方も少なくありません。
実は、YouTubeのスタイリング動画から技術を習得するには、ただ漠然と全体を眺めるのではなく、いくつかの重要な「着眼点」を持って視聴することが不可欠です。この記事では、動画から学び、ご自身のジェルスタイリングを格段に上達させるための、プロが注目するべきポイントについて詳しく解説いたします。
ポイント1:スタイリング剤を付ける「前」の工程を見る
多くの方が、スタイリストがジェルを手に取り、髪に付け始める場面からを熱心に見てしまいがちです。しかし、スタイリングの成否を分ける最も重要な工程は、実はその前にあります。
動画を観る際は、まず「髪の濡れ具合」に注目してください。完全に乾いた状態から始めているのか、それともタオルドライ後の半乾きの状態なのか。そして何よりも重要なのが「ドライヤーの使い方」です。多くの上手なスタイリストは、ドライヤーの熱と風を巧みに使い、ジェルを付ける前の段階で、すでにある程度のボリューム感や毛流れといった、スタイルの土台を完璧に作り上げています。このドライの工程こそ、動画のモデルとご自身の仕上がりに差がつく最大のポイントです。
ポイント2:ジェルの「量」と「手のひらでの伸ばし方」
次に注目すべきは、使用しているジェルの「量」です。動画では正確な量を把握しにくいかもしれませんが、「パール一粒大」「さくらんぼ大」など、何かに例えて説明されている場合は、その量を基準にしましょう。初心者が犯しがちな失敗の多くは、ジェルの量が多すぎることです。
そして、そのジェルをどのように手のひらで伸ばしているかも非常に重要です。指の間まで含めて、完全に透明になるまで均一に伸ばしているか。この作業を丁寧に行うことが、髪にジェルがムラなく付き、自然な仕上がりになるための秘訣です。動画では一瞬で終わる工程ですが、見逃さないようにしましょう。
ポイント3:髪への「付け方」と「指の動かし方」
いよいよ、髪にジェルを付ける場面です。ここでも着眼点があります。髪の表面だけを撫でるように付けているか、それとも髪の内側から手を入れて、全体に空気を含ませるように付けているか。根元から付けているか、毛先を中心につけているか。その「付け方」一つで、仕上がりのボリューム感や質感は大きく変わります。
また、スタイリストの「指の動かし方」も重要なヒントに満ちています。髪を「散らす」ような動き、「つまむ」ような動き、「握り込む」ような動き、「撫で付ける」ような動き。これらの繊細な指使いが、スタイルに立体感や束感、そして生命感を与えています。
動画だけでは分からない、最も重要なこと
これらのポイントを意識して動画を観ることで、皆様のスタイリング技術は大きく向上するはずです。しかし、それでもなお、動画だけでは埋めることのできない、決定的な差が存在することも事実です。
それは、動画のモデルと視聴者であるあなたご自身の「髪質・髪の量・骨格・生えグセ」が全く異なるという点です。また、動画内で使用されているスタイリング剤が、プロ仕様の高品質なものであるという点も、仕上がりを左右する大きな要因です。
YouTubeは、理想のスタイルを見つけるための素晴らしいインスピレーションの源であり、基本的な技術を学ぶための優れた教材です。しかし、その技術をあなたご自身に最適化するためには、やはり専門家による個別のアドバイスが不可欠となります。もし、動画を参考にしても上手くいかないとお悩みでしたら、ぜひ一度、その動画のイメージをサロンのスタイリストにお見せください。あなたの髪質に合わせた最適なやり方を、丁寧にご提案させていただきます。