ジェルスタイリングの「やらかし」を防ぐ。よくある失敗例と正しい使い方
ヘアジェルは、メンズのスタイリングにおいて非常に頼りになるアイテムですが、その一方で、少し使い方を誤ると「やらかした」と感じるような、手痛い失敗につながりやすいのも事実です。朝の忙しい時間に髪型が決まらないと、その日一日、気分が晴れないものです。
しかし、ご安心ください。多くの方が経験するジェルの失敗は、技術が足りないからではなく、そのほとんどが、ジェルの特性や正しい使い方に関する、ほんの少しの誤解から生じています。この記事では、ジェルスタイリングで起こりがちな代表的な失敗例を挙げ、その原因と、それを未然に防ぐための簡単な解決策を詳しく解説いたします。
失敗例その一:「付けすぎてベタベタ・重い」
これは、最も多くの方が経験する失敗かもしれません。髪がジェルの重さでぺたんこになり、触るとベタベタ、見た目にも清潔感を損なってしまう状態です。
原因は非常にシンプルで、使用するジェルの量が多すぎることです。特にスタイリングに慣れていないうちは、不安からつい多くの量を手に取ってしまいがちです。ジェルは必ず「小豆一粒大」ほどのごく少量から使い始めることを徹底してください。足りなければ後から少しずつ足すことはできますが、一度付けすぎたジェルを取り除くのは非常に困難です。「足せるが、引けない」を基本のルールと心得ましょう。
失敗例その二:「ガチガチで不自然な仕上がり」
髪がまるでヘルメットのように、一部分だけ、あるいは全体が不自然に固まってしまう失敗です。髪に柔軟性が全くなく、いかにも「固めています」という硬質な見た目になってしまいます。
この主な原因は、ジェルを手のひらで十分に伸ばさずに、塊のまま髪に付けてしまうことにあります。手に取ったジェルは、手のひらだけでなく、指の間まで含めて、完全に透明になるまで均一に伸ばすことが、自然な仕上がりへの絶対条件です。また、ご自身の目指すスタイルに対して、セット力が強すぎるジェルを選んでいる可能性も考えられます。自然な動きが欲しい場合は、より柔らかめのジェルを選ぶといった、製品選びの見直しも重要です。
失敗例その三:「乾くと白い粉が出てくる」
スタイリングしてしばらく経った後、髪を触ると肩や服に白い粉のようなものが落ちてくる「フレーキング」と呼ばれる現象です。これは見た目にも清潔感を大きく損ないます。
この原因も、ジェルの付けすぎが一つに挙げられます。髪に付着しきれなかった余分なジェルが、乾燥して粉状になって剥がれ落ちるのです。もう一つの大きな原因は、完全に乾いて固まった後の髪を、何度も手ぐしで触ったり、クシでとかしたりすることです。一度固まったジェルの皮膜が壊れ、粉になってしまいます。ジェルでセットした後は、できるだけ髪に触れないように心がけましょう。また、完全に乾いた髪にジェルを付けることも、この現象を引き起こしやすくなります。
失敗例その四:「地肌が透けて薄く見える」
ジェルでスタイリングすると、髪が束になることで地肌が露出し、普段よりも髪が薄く見えてしまうというお悩みです。これは特に、髪が細い方や柔らかい方が感じやすい失敗です。
これを防ぐ最も効果的な方法は、ジェルを付ける前のドライヤーの使い方にあります。髪を乾かす際に、根元をしっかりと立ち上げて、ふんわりとしたボリュームの土台を作っておくことが重要です。そして、ジェルを付ける際は、その立ち上げた根元には決して付けず、髪の中間から毛先を中心に馴染ませることを徹底してください。根元からジェルを付けてしまうと、ボリュームが失われ、地肌が透ける直接的な原因となります。
ここで挙げた「やらかし」のほとんどは、ジェルの量を正しく守り、付ける前の準備を丁寧に行うだけで、簡単に防ぐことができます。ご自身の髪質やスタイルに合った、より失敗の少ないスタイリング剤の選び方や、具体的なテクニックについてお知りになりたい場合は、ぜひお気軽にサロンのスタイリストにご相談ください。