ジェルとヘアスプレーの効果的な使い方。併用で実現する完璧なヘアスタイル
メンズのヘアスタイリングにおいて、ヘアジェルとヘアスプレーは、どちらもスタイルを維持するために不可欠な基本アイテムです。しかしその一方で、「この二つのスタイリング剤の具体的な違いは何だろうか」「どちらを使えば良いのか迷ってしまう」「そもそも一緒に使っても良いのだろうか」といった疑問をお持ちの方も少なくないかと存じます。
実は、ヘアジェルとヘアスプレーはそれぞれ全く異なる役割を担っており、その特性を正しく理解し、時には効果的に併用することで、ヘアセットの完成度と持続性は飛躍的に向上します。ここでは、それぞれの基本的な違いから、プロが実践する賢い使い分け、そしてワンランク上の仕上がりを実現する併用テクニックまでを詳しく解説いたします。
まずは基本から。「形を作る」ジェルの役割
ヘアジェルは、水分を多く含んだ粘性のあるスタイリング剤です。その最も重要な役割は、髪に具体的な「形を与え、束感やツヤといった質感を創り出すこと」にあります。スタイリングの初期段階で、濡れた髪や半乾きの髪に馴染ませ、手ぐしやコーム(櫛)を使って毛流れを整えたり、シルエットを構築したりと、ヘアスタイルの「土台」を造形するために使用します。ジェル単体でも高いキープ力を持ちますが、その本質は「スタイルを創る」ことにあると覚えておくと良いでしょう。
スタイルを「固定する」ヘアスプレーの役割
一方、ヘアスプレーは、霧状の樹脂成分を髪に噴射することで、スタイル全体を薄い膜でコーティングし、「形を固定・維持すること」を主な役割とします。ジェルやワックスといった他のスタイリング剤で作り上げたヘアスタイルの「仕上げ」の工程で使用し、湿気や風、時間の経過といった外部の要因から髪型を守るためのアイテムです。スプレー単体で複雑な形を一から作るのは困難ですが、完成したスタイルを保護し、その美しさを長く保つ能力に長けています。
ジェルとスプレーを併用する大きなメリット
この二つの異なる役割を持つアイテムを組み合わせることで、スタイリングはより完璧なものになります。最大のメリットは、「最強のキープ力を実現できる」ことです。ジェルでしっかりと作り上げたスタイルの上から、さらにヘアスプレーで表面をコーティングすることで、まさに鉄壁のホールド力が生まれます。絶対に髪型を崩したくないフォーマルな場面や、湿気が多くてスタイルが崩れやすい日などには、この併用テクニックが絶大な効果を発揮します。
また、ジェルだけでは時間が経つと重力で落ちてきやすい前髪の立ち上がりや、サイドの浮きやすい部分など、特にキープしたい箇所をスプレーで狙って固定することで、スタイルの細部のディテールまで長時間維持することが可能になります。
正しい併用の手順とコツ
ジェルとヘアスプレーを併用する際の正しい手順は、まずジェルから使うことです。通常通り、ジェルを使って全体のシルエットや束感といった、ヘアスタイルのベースを8割方完成させてください。そして、ジェルがある程度乾き、スタイルが固まったのを確認してから、仕上げにヘアスプレーを使用します。
スプレーを髪に吹きかける際は、ボトルを髪から20cmほど離し、全体に均一に、そして軽くかかるように動かしながら噴射するのがポイントです。一箇所に集中してかけすぎると、不自然に固まってしまったり、重さで逆にスタイルが崩れたりする原因になるため注意しましょう。全体を固めるだけでなく、特にキープしたい部分にだけポイントで使用するのも、自然な仕上がりを保つための効果的なテクニックです。
ヘアジェルが「形を作る彫刻刀」であるならば、ヘアスプレーは「完成した作品を保護するニス」のような存在です。この二つの特性を理解し、場面に応じて使い分け、そして時には効果的に併用することで、皆様の日々のヘアセットはより簡単で、より完璧なものになるはずです。ご自身の髪質や理想のスタイルに最適な製品の選び方や、より高度な組み合わせの技術についてお知りになりたい場合は、どうぞお気軽にサロンのスタイリストにご相談ください。

