ハードジェルの正しい使い方。スタイルを一日中崩さないスタイリング術
メンズヘアスタイリングにおいて、「朝セットした髪型を、一日中完璧に維持したい」というご要望は、おそらく最も多くの方が抱く願いではないでしょうか。そのようなニーズに対して、最も確実に応えてくれるスタイリング剤が、強力なセット力を誇る「ハードジェル」です。しかしその一方で、その圧倒的なキープ力ゆえに「髪がガチガチに固まりすぎるのではないか」「自然な仕上がりにするのが難しそう」といったイメージから、使用をためらっている方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、ハードジェルの持つ優れたポテンシャルを最大限に引き出し、不自然さを感じさせないスタイリッシュなヘアスタイルを完成させるための、正しい使い方とスタイリングのコツを詳しく解説いたします。
ハードジェルが選ばれる理由とその特徴
ハードジェルが多くの男性から支持される最大の理由は、その圧倒的な「キープ力」にあります。一度セットしたスタイルを、汗や湿気、強い風といった外部からの影響をものともせず、朝から夜まで完全に維持する能力は、他のスタイリング剤の追随を許しません。また、髪にシャープな束感と美しいツヤを与え、清潔感とメリハリのあるスタイルを簡単に作れるのも大きな特徴です。髪に馴染ませた後、比較的素早く乾いてスタイルを固定するため、忙しい朝のスタイリング時間を短縮できるという実用的なメリットも兼ね備えています。
ハードジェルが活きるヘアスタイル
その特性から、ハードジェルは特に特定のヘアスタイルにおいてその真価を発揮します。例えば、髪を立たせたり、細かな毛流れを作ったりする必要があるベリーショートやショートヘアスタイルとは最高の相性です。また、重力に逆らって前髪をしっかりと立ち上げたい「アップバング」スタイルも、ハードジェルを使えば一日中崩れる心配がありません。さらに、オールバックや七三分けといった、髪の乱れが許されないフォーマルな場面や、きっちりとした印象が求められるビジネスシーンにおいても、その強力なホールド力は絶大な安心感をもたらしてくれます。
自然に仕上げるための正しい使い方
ハードジェルを使いながらも、不自然なほど固まった印象を与えないためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、スタイリングを始める前には髪を一度濡らし、タオルで優しく水分を拭き取った「半乾き」の状態からスタートすることをお勧めします。これによりジェルが髪全体に伸びやすくなり、馴染みも格段に向上します。
ハードジェルは速乾性が高いため、スタイリングは時間との勝負です。適量を手に取ったら、躊躇せずにすぐ手のひら全体に薄く広げ、髪全体に「素早く、均一に」馴染ませることが鉄則です。この時、髪の表面から付けるのではなく、髪の内側に手を入れて、根元から毛先に向かって手ぐしを通すように付けると、一部分だけが固まってしまう失敗を防ぐことができます。スタイル全体を固める必要がない場合は、動きを出したい毛先部分だけに付けるなど、塗布する範囲をコントロールすることで、より自然な仕上がりになります。
ハードジェルの上手な洗い流し方
強力なセット力を持つハードジェルは、洗い流す際にも少し工夫が必要です。最も重要なのは、シャンプーを付ける前の「予洗い」です。38度前後のぬるま湯で、1分から2分ほど時間をかけて髪と頭皮を念入りにすすぐことで、ジェルの大部分は物理的に洗い流されます。このひと手間を加えるだけで、シャンプーの泡立ちと洗浄効果が劇的に向上し、髪や頭皮への負担を軽減しながらすっきりと洗い流すことができます。
ハードジェルは、その特性を正しく理解し、使い方をマスターすれば、どんな状況でもスタイルを崩さない、非常に信頼できるスタイリング剤です。ご自身の髪質や理想のスタイルに最適な製品の選び方や、より高度なスタイリング技術についてお知りになりたい場合は、どうぞお気軽にサロンのスタイリストにご相談ください。