ツヤなしジェルで作るメンズヘア。マットな質感で自然に決める
ヘアジェルといえば、その最大の特徴として「ウェットで光沢のあるツヤ感」を思い浮かべる方がほとんどではないでしょうか。しかし、中には「ジェルの強力なセット力やキープ力は魅力的だけれど、髪がツヤツヤと光るのは少し自分の好みとは違う」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。そんな声に応えるように、近年では「ツヤなし(マット)」タイプのジェルという、新しい選択肢が登場しています。今回は、この新しいタイプのジェルの特徴から、その魅力を活かしたスタイリング方法までを詳しく解説いたします。
「ツヤなし(マット)ジェル」とは何か
「ツヤなし(マット)ジェル」とは、その名の通り、ジェル特有の強いセット力やキープ力はそのままに、仕上がりのツヤを極力抑えるように設計されたスタイリング剤のことを指します。同じくツヤのない仕上がりが特徴のマットワックスとしばしば比較されますが、両者には明確な違いがございます。マットワックスは油分を主成分とし、髪に動きや束感を出しやすく、何度でも手直しができるのが特徴です。一方、ツヤなしジェルは水分を主成分としており、髪を固めてスタイルをキープする力が非常に強く、一度セットすると手直しが難しいという特性があります。キープ力を最優先するならジェル、動かしやすさを重視するならワックス、という使い分けが基本となります。
ツヤなしジェルがもたらすスタイリングの魅力
ツヤなしジェルをスタイリングに取り入れることで、従来のジェルでは表現できなかった、独特の魅力を演出することができます。最大の魅力は、ツヤがないことによって生まれる「自然で作り込みすぎない印象」です。「いかにもスタイリング剤を付けています」という雰囲気がなく、まるで素髪のようでありながら、実はしっかりとスタイルが整っているという、こなれた雰囲気を生み出します。また、パサついているのとは違う、上品でドライな質感が、カジュアルでどこか無造作な、おしゃれな印象を与えてくれます。見た目はあくまで自然でありながら、その内側ではジェル本来の強力なセット力が働いているため、作ったラフなスタイルが一日中崩れないという、見た目と性能のギャップも大きな魅力です。
ツヤなしジェルが活きるヘアスタイル
ツヤなしジェルの特性は、特に以下のようなヘアスタイルでその真価を発揮します。
無造作なショートスタイル
髪をくしゃっと握るようにラフにセットするだけで、作り込みすぎていない自然な動きを、一日中しっかりとキープすることができます。
ドライな質感のマッシュヘア
やや重めのシルエットになりがちなマッシュスタイルに、ドライな質感とさりげない束感を与え、軽やかで動きのある印象に仕上げます。
くせ毛風ナチュラルスタイル
ご自身のくせ毛が持つ自然な動きを、余計なツヤを出さずにそのままの質感で固定したい、という場合に最適です。
サイドを抑えるスタイルにも
ツヤは出したくないけれど、サイドのボリュームはジェルでしっかりと抑えたい、というような、特定のニーズにも的確に応えることができます。
ツヤなしジェルを上手に使うコツ
ツヤなしジェルを上手に使うためには、いくつかのコツがございます。ツヤがない分、髪に付けた量が視覚的に分かりにくく、つい多く付けすぎてしまいがちです。付けすぎると髪がゴワゴワしたり、不自然に重くなってしまったりするため、まずは少量から手に取り、足りなければ少しずつ足していくという意識が重要です。また、ドライな質感をより強調したい場合は、髪が完全に乾いた状態で使用するのも有効なテクニックの一つです。その際も、ムラにならないよう、手のひらでジェルをしっかりと伸ばしてから髪になじませるようにしてください。
理想のマットな質感を追求するなら
「マットな質感」の表現は非常に繊細であり、使用する製品の品質によって、仕上がりの印象は大きく左右されます。中途半端な品質の製品では、おしゃれなドライ感ではなく、単に髪がパサついて見えてしまうだけに終わる可能性もございます。プロが使用するサロン専売のマットジェルは、ただツヤを消すだけでなく、上品なドライ感の表現や、自然に見える束感の作りやすさなど、質感のクオリティが徹底的に追求されています。お客様の髪質や、求める質感の微妙なニュアンスを正確に理解し、数ある製品の中から最適な「ツヤなしジェル」をご提案できるのが、私たちプロのスタイリストの役割です。
まとめ
今回は、ツヤなし(マット)ジェルという、新しいスタイリングの選択肢についてご紹介いたしました。ジェルの強力なキープ力と、ワックスのような自然な質感を両立させたこのアイテムは、これまでツヤのあるスタイルが苦手でジェルを敬遠されていた方にも、ジェルの持つ大きな利点を享受させてくれます。ご自身のイメージに合った質感のスタイリング剤選びに迷われましたら、ぜひ一度ヘアサロンにて、多様な製品の中から最適な一品を見つけるお手伝いをさせていただければ幸いです。