同じシャンプーをずっと使い続けても良い?髪と頭皮の変化に合わせた、見直しのススメ
一度ご自身の髪に合うシャンプーが見つかると、その安心感から、つい、同じ製品をずっと使い続けてしまう。そうした経験は、多くの方におありのことと存じます。慣れ親しんだ使用感や香りは、日々の習慣に心地よく馴染み、新しい製品を探す手間を考えれば、それは非常に合理的で、決して間違った選択ではありません。しかし、その一方で、「以前はとても調子が良かったはずなのに、最近、なんだか仕上がりがしっくりこない」と感じたことはございませんでしょうか。その違和感は、あなたの髪と頭皮が、新しいケアを求めているサインかもしれません。
シャンプーに「耐性」がつく、という説について
「同じシャンプーを使い続けると、髪に耐性ができて、効果が薄れてしまう」。このような話を、一度は耳にしたことがあるかもしれません。しかし、専門的な視点から申し上げますと、医薬品のように、髪や頭皮がシャンプーの洗浄成分に対して、生物学的な「耐性」を持つようになる、ということは基本的にはありません。シャンプーの処方が変わらない限り、その製品が持つ性能そのものが、時間と共に低下するということは考えにくいのです。では、なぜ、以前のような満足感が得られなくなってしまうのでしょうか。その本当の理由は、シャンプーが変わったのではなく、「あなた自身」が変化したことにあります。
あなたの髪と頭皮は、常に変化し続けている
私たちの身体が、日々少しずつ変化していくように、髪と頭皮の状態もまた、決して静的なものではなく、様々な内的・外的要因によって、常に変化し続けています。
季節の移り変わりによる影響
例えば、季節の変化は、頭皮環境に大きな影響を与えます。夏は、汗や皮脂の分泌が増え、頭皮はべたつきやすくなります。一方で、冬は、乾燥した空気や暖房の影響で、頭皮はうるおいを失い、乾燥しがちになります。夏の間は完璧に合っていたさっぱり系のシャンプーが、冬になると、乾燥を助長する原因となってしまうこともあるのです。
年齢を重ねることによる、髪質の変化
年齢を重ねることも、髪質や頭皮の状態を変化させる、大きな要因の一つです。ホルモンバランスの変化によって皮脂の分泌量が落ち着いてきたり、髪一本一本が細くなることで、ハリやコシが失われたり。20代の頃に最適だったシャンプーが、40代の髪と頭皮にとっては、必ずしも最良の選択とは限らないのです。
ライフスタイルの変化と、ヘアスタイルの更新
髪型を変えた、というのも、シャンプーを見直す良いきっかけです。例えば、ヘアカラーやパーマをかけた髪には、ダメージを補修し、色持ちやカールを維持するための、特別なケアが必要です。また、使用するスタイリング剤の種類を変えた場合も、その洗浄に適したシャンプーを選ぶ必要があります。
シャンプーを見直すべき、三つのサイン
もし、お使いのシャンプーに対して、以下のようなサインを感じたら、それは、あなたのヘアケアが、新しいステージに進むべき時が来たことを示しているのかもしれません。
頭皮に、これまでなかった悩みが出てきた時
以前はなかった、フケやかゆみ、あるいは、治りにくい頭皮のニキビなど、頭皮に何らかのトラブルが現れた時は、シャンプーが合わなくなっている可能性があります。
髪の仕上がりに、満足できなくなった時
髪のパサつきや広がりが、以前より気になるようになった、あるいは、根元のボリュームが出にくくなった、など、髪の仕上がりに違和感を覚えた時も、見直しのサインです。
定期的な「ヘアケア診断」という、新しい習慣
同じシャンプーを使い続けることが、一概に悪いというわけではありません。しかし、ご自身の変化に気づかず、合わなくなったケアを続けてしまうことは、様々なトラブルの原因となり得ます。大切なのは、一本のシャンプーを生涯使い続けることではなく、その時々の自分に、本当に合ったケアを、柔軟に選択し続けることです。私達、髪の専門家である美容師は、お客様の髪を、誰よりも長く、そして定点的に見守り続けるパートナーです。ご来店の際に、ぜひ、現在のヘアケアについてお聞かせください。あなたの変化に寄り添う、最高の「今」をご提案させていただきます。