ヘアカラー前日のトリートメントはNG?綺麗な発色を妨げないための準備
髪のダメージをケアし、手触りを良くするために日々のヘアケアに欠かせないトリートメント。「ヘアカラーの前日だからこそ、髪のコンディションを整えるために念入りにトリートメントをしておこう」と、良かれと思ってケアに力を入れる方もいるかもしれません。しかし、その行動が、実はヘアカラーの仕上がりに予期せぬ影響を与えてしまう可能性があるのです。この記事では、ヘアカラー前日のトリートメント使用に関する注意点とその理由、そして最高のコンディションでカラー当日を迎えるための正しい準備について詳しく解説していきます。
なぜヘアカラー前日のトリートメントは避けるべきなのか
髪をいたわるためのトリートメントが、なぜヘアカラー前には推奨されないのでしょうか。その理由は、トリートメントが持つ「コーティング効果」にあります。
髪表面のコーティングが原因
- トリートメントの役割
私たちが普段使用している洗い流すタイプのトリートメントやコンディショナーの多くには、髪の表面を滑らかにし、指通りを良くするためのコーティング成分(シリコンなどが代表的)が含まれています。 - カラー剤の浸透を阻害
このコーティング膜が、ヘアカラーの際に染料が髪の内部へ浸透するのを妨げてしまうのです。カラー剤は髪のキューティクルの隙間から内部に入り込みますが、その隙間がトリートメントの成分によって埋められてしまう、とイメージすると分かりやすいでしょう。
具体的に起こりうるトラブル
- 染まりムラ
トリートメントが髪全体に均一についているとは限りません。コーティングが厚い部分と薄い部分とでカラー剤の染まり方が変わり、意図しない色ムラの原因になってしまいます。 - 発色が悪くなる
染料が髪の内部までしっかりと届かないため、本来の色が出にくくなります。結果として、全体的に薄い染まり上がりになったり、狙った色味が出ずにぼんやりとした印象になったりすることがあります。 - 特にアッシュやグレー系で影響大
透明感が命であるアッシュ、グレー、グレージュといった寒色系のカラーは、この影響を特に受けやすいです。少しの浸透阻害でも色が濁ってしまい、綺麗な発色が非常に難しくなります。
どのような種類のトリートメントに注意すべきか
一言でトリートメントと言っても様々な種類がありますが、ヘアカラー前は基本的にどのタイプも控えるのが賢明です。
洗い流すタイプのトリートメント・コンディショナー
- 日常使いのアイテム
普段お風呂で使っているものが最もこれに該当します。特に「しっとり」「まとまる」といった効果を謳う高保湿タイプの製品は、油分やコーティング成分が多く含まれる傾向にあるため、より注意が必要です。
洗い流さないタイプのトリートメント
- オイルやミルク、クリームなど
お風呂上がりの濡れた髪や、乾いた髪に使う洗い流さないトリートメントも同様です。ヘアオイルやミルク、クリームといった製品は髪表面に残りやすいため、ヘアカラー前日の夜からは使用を控えるのが望ましいでしょう。
サロンでのシステムトリートメント
- 施術直前は避ける
サロンで行うような多段階の集中ケアトリートメントも、持続性の高い強力なコーティング効果を持つものが多くあります。ヘアカラーの直前(数日前から当日)に施術を受けるのは避けた方が良いでしょう。
ヘアカラー前日の理想的なヘアケア
では、ヘアカラーを翌日に控えた夜は、どのように過ごすのが最も良いのでしょうか。
シャンプーのみ、もしくはお湯洗いがベスト
- 素髪の状態を作る
前日の夜は、トリートメントやコンディショナーは使わず、シャンプーのみで済ませるのが理想です。もしスタイリング剤などをつけておらず、汗などもかいていない場合は、お湯でしっかりと髪と頭皮をすすぐだけでも十分です。 - 頭皮は優しく
シャンプーをする際は、頭皮を傷つけないように指の腹で優しく洗いましょう。頭皮の皮脂を過剰に落としすぎないことも、翌日のカラー剤の刺激から地肌を守る上で大切です。
スタイリング剤も控えめに
- 当日の朝も注意
前日の夜から当日の朝にかけては、ワックスやジェル、ヘアオイル、スプレーといったスタイリング剤も、なるべくつけずにサロンに来店するのが、最も綺麗な仕上がりへの近道です。
ダメージケアはカラー後に集中して行う
- トリートメントの最適なタイミング
髪のダメージケアは、ヘアカラーの施術によってアルカリ性に傾いた髪を、サロンでの後処理で弱酸性に戻し、キューティクルを閉じてから行うのが最も効果的です。サロンでのカラー後のトリートメントや、その日から始める自宅でのアフターケアに力を入れるのが正解です。
もし前日にトリートメントをしてしまったら
習慣でうっかりトリートメントを使ってしまった場合でも、過度に心配する必要はありません。正直に伝えることが最善の対処法です。
焦らず、正直に申告する
- 最も重要なこと
隠したりせず、カウンセリングの際に「昨日、しっとり系のトリートメントをしてしまいました」と、担当の理容師に伝えることが一番大切です。 - プロによる適切な対応
事前にその情報があれば、プロの理容師は施術前に髪のコーティング成分を除去するためのシャンプー(プレシャンプー)を入念に行うなど、適切な処置をしてくれます。 - リスクの軽減
髪の状態を正確に把握することで、薬剤の選定や放置時間を微調整し、染まりムラなどのリスクを最小限に抑えることが可能になります。
まとめ
ヘアカラー前日のトリートメントは、良かれと思っての行動が、髪表面のコーティングによって染まりムラや発色不良の原因となる可能性があるため、基本的には避けるべきです。前日はシャンプーのみで済ませ、スタイリング剤なども控えた「素髪」に近い状態で施術に臨むのが、理想の仕上がりへの一番の近道と言えるでしょう。髪のダメージケアは、ヘアカラーが終わった後のアフターケアとして集中して行うのが最も効果的です。もし事前にトリートメントをしてしまっても、正直に理容師に伝えれば対処が可能です。少しでも準備に迷ったら、自己判断せずにプロに相談するのが一番です。ぜひ万全の状態で、評判の良い理容師のいるメンズヘアサロンを訪れ、美しいヘアカラーを手に入れてください。