【メンズ短髪】“無造作ヘア”の作り方をプロが解説。計算された抜け感の正体とは
「頑張ってセットした感じは出したくない。でも、何もしないでいるのは違う」
多くの男性が抱えるこのジレンマを、見事に解決してくれるのが、究極のお洒落スタイルとも言える「無造作ヘア」です。
肩の力が抜けた自然体な雰囲気でありながら、なぜかお洒落で、こなれて見える。そんな無造作ヘアに憧れを抱く方は少なくないでしょう。しかし、いざ自分で挑戦してみると、ただの「ボサボサな寝ぐせ髪」になってしまい、結局いつものスタイリングに戻ってしまう…という経験はありませんか?
それもそのはず。実は、多くの人がイメージする魅力的な無造作ヘアは、「何もしない」のではなく「緻密に計算され尽くした結果」なのです。
この記事では、その「計算された無造作」の正体と、誰でも簡単に再現できるスタイリングの秘訣を、プロの理容師が徹底的に解説します。
「お洒落な無造作」と「ただのボサボサ」、その境界線はどこにある?
まず、私たちが目指すべき「お洒落な無造作ヘア」と、単なる「ボサボサ髪」との決定的な違いを理解しておきましょう。ポイントは3つです。
- ポイント1:清潔感があるか?無造作な毛先の動きの中にも、襟足や耳周りはすっきりと整えられている。これが大前提です。だらしなく見えない、クリーンな土台があってこそ、無造作はお洒落として成立します。
- ポイント2:全体のシルエットが美しいか?髪がランダムに動いていても、全体のシルエットはコントロールされています。例えば、「トップには自然なボリュームがあり、サイドのハチ周りはタイトに収まっている」といった、基本的な「ひし形シルエット」が意識されています。
- ポイント3:計算された「束感」と「空気感」があるか?ただ髪がバラバラに散っているのではなく、スタイリング剤によって作られた適度な「毛束」が存在します。そして、髪と髪の間に空気が含まれているような、重さを感じさせない軽やかな質感を持っています。
無造作ヘアを作るためのベースカットとは?
「計算された無造作」をスタイリングで表現するには、その土台となるカットが非常に重要です。
- ショートレイヤー: 髪の表面と内側に長さの段差(レイヤー)をつけることで、ワックスを軽く揉み込むだけで、髪に自然な動きと束感が生まれます。無造作ヘアの最も王道なベースカットと言えるでしょう。
- マッシュショート: 丸みのある優しいシルエットをベースに、毛先にラフな動きを加えることで、優しさとお洒落感を両立できます。重く見えがちなマッシュに、軽快なニュアンスをプラスしたい場合に最適です。
- 無造作パーマ: これぞ、究極の時短スタイル。あらかじめ髪にランダムなカールやウェーブをつけておくことで、朝はドライヤーで乾かしてワックスを馴染ませるだけで、理想の無造作ヘアが完成します。直毛で動きが出にくい方や、スタイリングが苦手な方に特におすすめです。
プロが実践する「無造作ヘア」セットの完全手順
それでは、具体的なセット方法をステップ・バイ・ステップで見ていきましょう。
STEP 1:ドライヤーで“ベース”を創る
セットの成否の8割は、このドライヤーの段階で決まります。ただ乾かすのではなく、髪に「動きのクセ」をつける意識で行いましょう。シャンプーするように指の腹で頭皮を擦りながら、様々な方向から風を当て、根元の生え癖をリセットします。トップは持ち上げ、サイドは抑えるように乾かし、シルエットの土台を作ります。
STEP 2:ワックスは「マット系」をチョイス
無造作ヘアのラフな雰囲気を引き立てるには、ツヤのない「マットタイプ」や「クレイタイプ」のハードワックスが最適です。
STEP 3:ワックスを“空気と混ぜるように”揉み込む
ワックスを手のひらで透明になるまでしっかりと伸ばしたら、髪の内側に指を入れ、根元から毛先に向かって空気を含ませるようにクシャっと握り込みながら、髪全体に馴染ませます。一度、髪全体をライオンのようにボリュームアップさせるイメージです。
STEP 4:指先で“つまみ、散らし、整える”
全体にワックスが行き渡ったら、ここからが仕上げのデザインです。指先で毛束をランダムに「つまんで」束感を創り出し、トップの毛束を指でパラパラと「散らす」ようにして、自然なボリュームと動きを出します。最後に、膨らみやすいサイドを手のひらで優しくプレスして、全体のシルエットを整えれば完成です。
その「計算」、実はカットの段階で始まっています
ここまでセットのテクニックをご紹介しましたが、なぜプロがセットすると、簡単に理想の無造作ヘアが作れるのでしょうか。その秘密は、お客様がご自宅で簡単にスタイリングできるように、カットの段階で様々な**「仕掛け」**を施しているからです。
お客様がワックスを揉み込んだだけで、自然な動きや束感が生まれるように、髪の長さに段差をつけたり、髪の内側の量を調整して軽さを出したりと、目には見えない部分で緻密な計算をしています。
そう、「計算された無造作」の大部分は、セットの前、カットの段階で既に始まっているのです。
まとめ
お洒落な「無造作ヘア」とは、何もしない手抜きのスタイルではなく、清潔感を土台とした、計算され尽くした究極のナチュラルスタイルです。
正しいドライヤーの使い方と、ワックスの「揉み込む」「散らす」「つまむ」といったテクニックをマスターすれば、誰でも「こなれ感」のあるスタイルを手に入れることができます。
そして、そのスタイリングを最も簡単かつハイクオリティに実現させるのは、プロによる緻密な「仕掛け」のあるカットに他なりません。あなたの髪質や骨格を活かした、最高の“計算された無造作ヘア”をデザインします。スタイリングが苦手な方でも大丈夫です。私たちが、あなたの毎日をサポートします。