【メンズ短髪】無造作ヘアセットの完全ガイド。プロが教える“計算されたラフさ”の作り方
肩の力が抜けているのに、なぜかお洒落に見える「無造作ヘア」。キメすぎているのは気恥ずかしいけれど、何もしないのはだらしない。そんな風に考える多くの男性にとって、それはまさに理想のスタイルではないでしょうか。
しかし、いざ自分でセットしてみると、ただの寝ぐせのようなボサボサ髪になってしまい、「自分には向いていないのかも…」と断念した経験はありませんか?
ご安心ください。そのお洒落な無造作ヘアは、決して天性のセンスだけで作られているわけではありません。「計算され尽くしたセット」の賜物なのです。この記事では、そのプロのセット方法を、誰でも簡単に真似できるよう、ゼロから徹底的に解説します。
あなたのセットはなぜ失敗する?「お洒落な無造作」と「ただのボサボサ」の決定的な違い
まず、目指すべきゴールを明確にしましょう。両者の間には、明確な境界線が存在します。
お洒落な無造作ヘア | ただのボサボサ髪 |
清潔感がある(襟足や耳周りがスッキリ) | 清潔感がなく、だらしない印象 |
シルエットが整っている(トップはふんわり、サイドはタイト) | 全体が膨張し、頭が大きく見える |
計算された束感と空気感がある | 毛先がバラバラでまとまりがない |
この違いを生み出すのが、これからご紹介する「セット技術」と、その全ての土台となる「カット」なのです。
【最重要】セットの8割を決める、ドライヤーでのベース作り
ワックスを付ける前に、勝負はほぼ決まっています。無造作ヘアのベースは、ドライヤーで作り上げます。
- ポイント1:根元をあらゆる方向から動かす髪を乾かす時、一方方向から風を当てるのはNGです。シャンプーをする時のように、指の腹で頭皮をガシガシと擦りながら、上下左右、あらゆる方向から風を当てましょう。これにより、根元の生え癖がリセットされ、髪が自然に立ち上がりやすくなります。
- ポイント2:髪全体に“空気”を含ませる髪の根元から毛先に向かって、手で髪を「握る」「持ち上げる」を繰り返しながら乾かします。髪と髪の間にたっぷりと空気を含ませ、一度、髪全体をボリュームアップさせるイメージです。
- ポイント3:シルエットの土台を作る乾かしながら、トップは持ち上げてボリュームを、膨らみやすいサイド(ハチ周り)は手のひらで軽く抑えつけながら熱を当てて、基本的な「ひし形シルエット」の土台をこの段階で作っておきます。
【完全手順】プロが教える無造作ワックススタイリング
最強のベースができたら、いよいよワックスで質感を加えていきます。
STEP 1:ワックスは「マット系」を選ぶ
無造作ヘアのラフな雰囲気を出すには、ツヤのない「マットタイプ」か「クレイタイプ」のハードワックスが最適です。
STEP 2:ワックスを“透明になるまで”伸ばす
人差し指の第一関節の半分くらいの量を手に取ります。それを、手のひら、そして指の間まで、完全に透明になるまで、これでもかというくらいしっかりと伸ばしてください。これが、ダマやムラを防ぐ最大のポイントです。
STEP 3:髪の根元から“クシャっと”揉み込む
後頭部から付け始め、髪の表面を撫でるのではなく、髪の内側に指を入れ、根元から毛先に向かって「クシャッ」と握り込むように、空気を含ませながら全体にワックスを揉み込んでいきます。
STEP 4:シルエットを調整する(散らす・つまむ・抑える)
全体にワックスが馴染んだら、ここからがデザインの時間です。
- 散らす: トップの毛束を、指でパラパラと振り下ろすようにして、ランダムな動きとボリュームを作ります。
- つまむ: 指先に残ったワックスで、前髪や顔周りの毛束を少しずつひねるようにして、シャープな束感を作ります。
- 抑える: 手のひら全体で、膨らみやすいサイドやハチ周りを優しくプレスし、全体のシルエットを引き締めます。
「計算された無造作」は、カット技術から生まれている
ここまでセット方法を詳しく解説してきましたが、なぜプロがやると、いとも簡単に動きや束感が出るのでしょうか。それは、お客様が自宅で簡単に無造作ヘアを作れるように、カットの段階で様々な**「仕掛け」**を施しているからです。
- 髪が自然に動くように、**レイヤー(段差)**を入れる。
- 束感が生まれやすいように、髪の内側の量を**セニング(毛量調整)**で軽くする。
- そもそもセットが苦手な方には、パーマでランダムな動きをあらかじめ作っておく。
そう、「計算された無造作」の大部分は、セットの前、カットの段階で既に始まっているのです。
まとめ
お洒落な「無造作ヘア」とは、何もしない手抜きのスタイルではなく、清潔感を土台とした、計算され尽くした究極のナチュラルスタイルです。
ドライヤーでのベース作り、そして「揉み込む」「散らす」「つまむ」というワックスのテクニックをマスターすれば、誰でもこなれ感のあるスタイルを作ることができます。
そして、そのセットを最も簡単かつハイクオリティに実現させるのは、プロによる緻密な「仕掛け」のあるカットに他なりません。あなたの髪質や骨格に合わせた、最高の“計算された無造作”ヘアを、私たちと一緒に創りませんか?明日からのスタイリングが、きっと楽しくなることをお約束します。