ワックスを前髪につけない理由|プロが教える正しいスタイリング術
ヘアスタイリングの世界で、古くから語り継がれる一つの「鉄則」があります。それは、**「ワックスは、前髪につけない」**というものです。この言葉を、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、その本当の意味を、皆様は正しく理解できているでしょうか。このルールは、決して「前髪には何もつけずに、放置しなさい」という意味ではありません。この記事では、「ワックスを前髪につけない」という鉄則に隠された、プロが実践する繊細なスタイリング技術と、その理由について詳しく解説いたします。
なぜ「前髪にワックスをつけない」と言われるのか
そもそも、なぜ前髪にワックスをつけることは、一般的に避けるべきだとされているのでしょうか。その理由は、前髪がヘアスタイル全体の「清潔感」と「印象」を決定づける、最も重要なパーツであることに起因します。
1.ベタつきによる「不潔感」を避けるため
前髪は、他人の視線が最も集まる場所です。その前髪に、他の部分と同じようにワックスを直接つけてしまうと、油分でベタついて束になりやすく、まるでお風呂に入っていないかのような、不潔な印象を与えてしまいがちです。
2.「肌荒れ」のリスクを回避するため
ワックスをつけた前髪は、おでこの肌に直接触れる機会が多くなります。ワックスに含まれる油分が、おでこの毛穴を塞いでしまうことで、ニキビや吹き出物といった、肌荒れを引き起こす直接的な原因となりかねません。
3.「重さ」でスタイルが潰れるのを防ぐため
前髪は、他の部分に比べて髪が細く、繊細です。そこにワックスの重みが加わることで、せっかくドライヤーで創ったふんわりとした質感が失われ、ペタッと潰れた、不自然なスタイルになってしまいます。
プロが実践する、正しい前髪のスタイリング術
それでは、プロはどのようにして、ベタつかせることなく、自然で美しい前髪を創り上げているのでしょうか。その秘訣は、**「新たにワックスを追加せず、手に残ったごく僅かな量で仕上げる」**という、引き算のスタイリングにあります。
1.ワックスは「後ろから前へ」とつける
まず、スタイリングの基本的な手順として、ワックスは、後頭部やサイド、そしてトップといった、ヘアスタイル全体の土台となる部分からつけ始めます。
2.前髪は「最後」に、手に残ったワックスで
そして、髪全体にワックスを馴染ませ終え、手のひらにはほとんどワックスが残っていない、という状態になってから、初めて前髪に触れます。指先に残った、目に見えないほどのごく僅かなワックスを使い、毛先を優しくつまんで束感を創ったり、毛流れを整えたりするのです。
この手順を守ることで、前髪に余計な油分や重さを与えることなく、スタイル全体と調和した、あくまで自然で、軽やかな質感を創り出すことができます。
「つけない」の本当の意味
つまり、「ワックスを前髪につけない」という鉄則の本当の意味は、「前髪をスタイリングするな」ということではなく、**「前髪のために、新たにワックスを手に取って、それを直接つけてはいけない」**ということなのです。全体のスタイリングを終えた後の、手に残った最小限の量で仕上げること。これこそが、プロが実践する、清潔感とデザイン性を両立させるための、究極のテクニックです。
最高の「質感」は、最高の「道具」から
このプロの繊細なテクニックを、ご自宅でより高いレベルで実現させてくれるのが、高品質なスタイリング剤です。
私達サロンで取り扱うプロフェッショナル仕様のスタイリング剤、いわゆる「サロン専売品」は、ベタつきが少なく、非常に軽い使用感でありながら、高いスタイリング性能を誇ります。そのため、手に残った僅かな量でも、驚くほど美しい毛束感や毛流れを創り出すことが可能です。
お客様の髪質とスタイルに最適な一品と、それを最大限に活かすためのプロの技術。その両方をご提供させていただくことこそ、私達の役割です。ぜひ一度、その違いをご体感ください。