ワックスでセットした髪がヘッドホンで崩れる方へ|対策と直し方の全知識
音楽鑑賞やゲーム、あるいはリモートワークなどで、日常的にヘッドホンを使用する方にとって、「ヘッドホンを外した後の、潰れてしまった髪型」は、非常に大きな悩みではないでしょうか。朝、時間をかけてセットした完璧なヘアスタイルが、ヘッドホンによって一瞬で台無しになってしまう。この、避けられないようで、実は対策可能な問題について、プロの視点から、崩れを最小限に抑えるための予防策と、崩れてしまったスタイルを美しく復活させるための直し方を詳しく解説いたします。
なぜ、ヘッドホンをすると髪型は崩れてしまうのか
ヘッドホンが髪型を崩す主な原因は、「圧力」と「湿気」という二つの要素にあります。まず、ヘッドホンのヘッドバンド部分が、頭頂部の髪を物理的に「圧力」で押さえつけることで、せっかく立ち上げた根元のボリュームが潰れてしまいます。また、両耳を覆うイヤーパッドの部分は、体温や汗によって内部の温度と湿度が上昇しやすくなります。この「湿気」が、ワックスのセット力を著しく低下させ、サイドの髪をヘタらせてしまうのです。
ヘッドホンを「つける前」にできる、崩れを最小限にする予防策
まず、ヘッドホンをつける前の、朝のスタイリングの段階で、できる限りの対策を講じることが重要です。
1.ドライヤーで「強固な土台」を創る
スタイルの持続性は、ドライヤーによるベース作りで決まります。髪の根元をしっかりと立ち上げ、毛流れを整えるなど、ドライヤーで髪型の土台を完璧に創り上げておくことで、圧力に対する耐性が格段に向上します。
2.「再整髪しやすい」ワックスを選ぶ
ヘッドホンを日常的に使う場合、ガチガチに固まるタイプのワックスやジェルは、一度崩れると修正が難しいため、実はあまり適していません。おすすめは、セット力は高いながらも、手ぐしで手直しがしやすい、柔軟性のあるワックスです。ファイバータイプや、ドライな質感のクレイワックスなどが、手直しをしやすいため、ヘッドホンユーザーには適しています。
ヘッドホンを「外した後」の、プロが実践する手直し術
どんなに予防をしても、ある程度の崩れは避けられません。しかし、正しい手順を踏めば、まるでセットしたてのような状態にまで、スタイルを復活させることが可能です。
ステップ1:まず、髪を「ほぐして」空気を入れる
ヘッドホンを外したら、まず、潰れてしまった髪の根元に指を入れ、優しく頭皮を擦るようにして、髪全体をふんわりと「ほぐし」ます。これにより、髪の間に空気が入り、スタイルの土台がリセットされ、手直しがしやすい状態になります。
ステップ2:「水」を使って、ワックスを再活性化させる
次に、ワックスを新たに手に取る前に、少量の「水」を手のひらに取ります。そして、その湿った手のひらで、潰れた部分の髪を優しく揉み込むようにして、髪に水分を補給します。髪に付着していたワックスは、この水分によって、つけたてのような柔らかく、再び動かせる状態へと「再活性化」します。
ステップ3:手ぐしで形を整え、自然乾燥させる
ワックスが再活性化し、髪が再び動かせるようになったら、指先で全体のシルエットや毛束感を整え直します。その後は、そのまま自然乾燥させれば、スタイルはかなりのレベルまで復活します。この時、どうしても必要な場合のみ、米粒一粒大ほどのごく少量のワックスを指先に伸ばし、毛束をつまんで仕上げると、さらに完成度が高まります。
最高のスタイルは、最高の「道具」と「設計」から
これまで、ヘッドホン対策について解説してまいりましたが、その大前提として、そもそもヘッドホンをしても崩れにくく、かつ手直しがしやすいように緻密に計算されたベースカットが施されていることが、何よりも重要です。
私達プロのスタイリストは、お客様のライフスタイルを深く理解し、ヘッドホンとの共存を前提としたヘアデザインをご提案いたします。そして、そのスタイルを最も美しく維持するための、高い再整髪性を誇る高品質な「サロン専売品」の中から、最適な一品を選び出し、プロの技術を直接お伝えさせていただきます。
もう、ヘッドホンを外すことを、ためらう必要はございません。ぜひ一度、私達にご相談ください。