ワックスとヘアオイルを混ぜるのは正解?プロが教える上級テクニック
ご自宅でのヘアスタイリングにおいて、より高いレベルの仕上がりを追求する中で、「ワックスとヘアオイルを混ぜて使ったら、どうなるのだろう?」と、そう考えたことはございませんでしょうか。ワックスが持つ「セット力」と、ヘアオイルが持つ「ツヤ感」。この二つを組み合わせることで、理想の質感が創れるのではないかと期待する方も多いかと存じます。この記事では、ワックスとヘアオイルを混ぜるという、プロも実践する上級テクニックについて、その目的と正しいやり方、そして注意点を詳しく解説いたします。
ワックスとヘアオイルを「混ぜる」目的とは
まず、プロのスタイリストが、なぜワックスとヘアオイルを混ぜることがあるのか、その目的を理解することが重要です。このテクニックは、主に三つの効果を狙って行われます。
1.ワックスに「ツヤ感」を加えるため
最も多い目的が、マットな質感のワックスに、オイル特有の上品なツヤ感を加え、質感を微調整するためです。これにより、セット力は高いまま、パサつきを抑えた、潤いのある仕上がりを創り出すことが可能になります。
2.硬いワックスの「伸びを良くする」ため
クレイワックスなどの、テクスチャーが非常に硬く、手のひらで伸ばしにくいワックスに、オイルを数滴加えることで、ワックスが柔らかくなり、髪に馴染ませやすくなる効果も期待できます。
3.強すぎるセット力を「緩和する」ため
セット力が強すぎるハードワックスに、オイルを少量加えることで、そのホールド力を意図的に少しだけ弱め、よりしなやかで、柔らかな質感のスタイルを創る、といった目的で使われることもあります。
プロが実践する、正しい「混ぜ方」と注意点
ワックスとヘアオイルを混ぜるという行為は、そのさじ加減を少しでも間違えると、スタイリングを大失敗に導くリスクを伴う、非常に繊細な技術です。もしご自身で試される場合は、以下の点に細心の注意を払ってください。
混ぜる比率は「ワックス10に対して、オイル1」が限界
まず、基本となるワックスの量(例えば小豆一粒大)を手のひらに取ります。そこに、ヘアオイルをほんの1滴か2滴だけ加えます。これ以上多く加えてしまうと、ワックスのセット成分が油分に負けてしまい、セット力が著しく低下し、ただ髪がベタつくだけの結果に終わってしまいます。
手のひらで「完璧に」混ぜ合わせる
ワックスとオイルを手のひらに乗せたら、髪につける前に、両方の手のひらを使い、二つの製品が完全に混ざり合い、均一な状態になるまで、完璧に擦り合わせてください。この混ぜる作業が不十分だと、髪につけた際にムラになってしまいます。
「混ぜる」よりも安全で確実な、プロが推奨する基本手順
これまで、混ぜるテクニックについて解説してまいりましたが、実は、プロの世界では、より安全で、そして確実に、スタイリングとケアを両立させるための基本的な手順が存在します。
それは、「混ぜる」のではなく、**「正しい順序で、それぞれを別々に使う」**という方法です。まず、タオルドライ後の濡れた髪にヘアオイルを馴染ませて髪をケアし、ドライヤーで完全に乾かします。そして、その上からワックスをつけてスタイリングを行う。この手順を踏めば、それぞれの製品が持つ効果を100%発揮させることができ、失敗のリスクもありません。初心者の方は、まずこちらの基本手順をマスターすることをお勧めいたします。
最高の「質感」は、最高の「製品」から生まれる
ワックスとヘアオイルを混ぜるという行為は、いわば、既存の製品で理想の質感が得られない場合の、最終手段とも言えます。
私達サロンで取り扱うプロフェッショナル仕様のスタイリング剤、いわゆる「サロン専売品」の中には、絶妙なセット力と、上品なツヤ感を、最初から完璧なバランスで両立するように処方設計された、高品質な製品が数多く存在します。お客様がわざわざ製品を混ぜ合わせるリスクを冒さずとも、一つの製品で理想を叶えることができるのです。
お客様の髪質と創りたいスタイルに合わせた、最高のバランスを持つ一品を、私達が責任を持ってお選びいたします。ぜひ一度、ご相談ください。