ワックスが髪から取れない方へ|正しい落とし方と根本的な解決策
一日の終わりにシャンプーをしても、髪や頭皮にワックスのベタつきが残り、「どうしても綺麗にワックスが取れない」と、不快な思いをされた経験はございませんでしょうか。この「取れないワックス」は、単に気持ちが悪いだけでなく、放置してしまうと、髪と頭皮の健康を脅かす様々なトラブルの原因となりかねません。この記事では、ワックスが髪から取れなくなってしまう原因と、それを根本から解決するためのプロが実践する洗浄術について詳しく解説いたします。
ワックスが「取れない」状態が引き起こすリスク
まず、ワックスが髪や頭皮に残留してしまうことが、なぜ問題なのかを正しく理解することが重要です。ワックスの油分や汚れが頭皮の毛穴に詰まると、正常な皮脂の分泌が妨げられ、フケやかゆみ、ニキビといった頭皮トラブルを引き起こす温床となります。また、髪の表面にワックスが残っていると、キューティクルの呼吸が妨げられ、髪のゴワつきやパサつきに繋がるだけでなく、トリートメントなどのヘアケア成分の浸透も阻害してしまいます。
なぜワックスは取れなくなってしまうのか
シャンプーで洗ってもワックスが取れない主な理由は、ワックスに含まれる成分の性質にあります。特に、セット力の高いワックスには、スタイルを一日中強力にキープするために、水を弾く性質を持つ「油性成分」や「樹脂成分」が多量に含まれています。これらの成分が髪一本一本に強力に付着し、水の力だけでは簡単に剥がれない、頑固な膜を形成してしまうのです。
プロが実践する、頑固なワックスを「取る」ための洗浄術
洗浄力の強いシャンプーに頼って、髪と頭皮に負担をかける必要はありません。正しい手順を踏めば、どんなに頑固なワックスでも、優しく、そして完璧にリセットすることが可能です。重要なのは、シャンプーをつける前の「下準備」です。
1.お湯の力だけで、まず大半を洗い流す
シャンプー剤を手にする前に、まずは38度前後のぬるま湯だけで、髪と頭皮を丁寧に洗い流してください。この「予洗い」に、いつもより長い2分から3分ほどの時間をかけることで、お湯の力と物理的な刺激だけで、付着したワックスの大部分を浮き上がらせ、洗い流すことができます。
2.コンディショナーで油分を分解する
予洗い後、次に、シャンプーではなく、先にコンディショナーやトリートメントを髪に馴染ませます。油性のワックスは、同じく油分を豊富に含むコンディショナーの成分と混ざり合うことで「乳化」し、髪からスルリと浮き上がり、お湯で簡単に洗い流せる状態に変化します。このひと手間が、頑固なワックスを攻略するための最大の秘訣です。
3.二度のシャンプーで完璧にリセットする
コンディショナーを軽くすすいだ後、ようやくシャンプーの工程に入ります。一度目のシャンプーで浮き上がったワックスを洗い流し、二度目のシャンプーで、頭皮の毛穴までを清潔にするイメージで優しく洗い上げます。この手順を踏めば、驚くほどさっぱりとした洗い上がりを実感できるはずです。
「取りやすさ」も性能の一部。プロの道具という選択
これまでにご紹介した洗浄術は非常に効果的ですが、毎日のこととなると、少し手間に感じてしまうかもしれません。実は、プロが使用するスタイリング剤の世界では、「スタイリング性能」だけでなく、この「取りやすさ(洗い流しやすさ)」も、製品の品質を決定づける重要な性能の一つと考えられています。
私達サロンで取り扱うプロフェッショナル仕様のスタイリング剤、いわゆる「サロン専売品」の中には、高いセット力を誇りながらも、日々のシャンプーで髪や頭皮に負担をかけることなく、簡単に洗い流せるように、成分の処方が緻密に計算されている製品が数多く存在します。
最高のスタイルを創り出し、そして一日の終わりには、優しく髪をいたわる。この理想的なサイクルを実現することこそ、私達が考えるプロフェッショナルなヘアケアです。「ワックスが取れない」というお悩みから解放されたい方は、ぜひ一度、髪の専門家である私達にご相談ください。