ヘアワックスで髪を「立ち上げ」る方法|プロが教える基本とコツ
メンズヘアスタイリングにおいて、髪の根元をふんわりと「立ち上げ」る技術は、スタイルに立体感と生命感を与えるための最も基本的な、そして最も重要なテクニックです。特に、ショートスタイルや、トップに高さを出す髪型では、この立ち上がりがスタイル全体の印象を決定づけます。しかし、「ワックスをつけてもすぐにペタッとしてしまう」「上手く髪が立ち上がらない」といったお悩みを抱えている方も多いかと存じます。この記事では、ワックスを使って、一日中崩れない力強い立ち上がりを創り出すための、プロが実践する正しい手順と秘訣について詳しく解説いたします。
多くの人が陥る「ワックスでの立ち上げ」の誤解
まず、スタイリングを成功させるために、皆様に知っていただきたい一つの大きな真実がございます。それは、髪の「立ち上がり」は、ワックスの力だけで創り出すものではない、ということです。ワックスの本来の役割は、あくまでドライヤーなどによって既に立ち上げた髪の形を、そのセット力で維持(キープ)するためのものです。この原則を無視して、ワックスの粘度やセット力だけで無理に髪を持ち上げようとすると、ワックス自体の重みで、かえってスタイルが潰れてしまう原因となります。
髪を立ち上げるための最重要ツール「ドライヤー」
それでは、髪を根元から力強く立ち上げるためには、何を使えば良いのでしょうか。その答えは、皆様のお手元にある「ドライヤー」です。ドライヤーの「熱」と「風」、そして「冷風」を巧みに操ることこそが、プロが実践する立ち上げ技術の神髄です。
1.髪を一度濡らし、ゼロの状態から始める
スタイリングは、まず髪を根元からしっかりと濡らし、寝癖や生え癖をリセットすることからスタートします。乾いた髪の上からでは、根元の方向性を変えることはできません。
2.髪の生え癖に逆らって根元を乾かす
タオルドライ後、ドライヤーの温風を使い、立ち上げたい部分の髪の根元に、髪が生えている方向とは逆らうように風を当てていきます。例えば、トップの髪を後ろに流して立ち上げたい場合は、まず一度、全ての髪を前方に向かって乾かし、根元をリセットします。その後、改めて後方に向かって乾かすことで、根元に強い立ち上がりの力が生まれます。
3.「温めて、冷やす」で形を記憶させる
立ち上げたい部分の根元に温風を当てながら、ドライヤーを持っていない方の手の指で、根元を優しく持ち上げたり、擦ったりして立ち上がりのクセをつけます。根元が十分に立ち上がったら、その形を指でキープしたまま、ドライヤーの風を冷風に切り替えます。この冷風を数秒間当てることで、立ち上がった形が根元にしっかりと記憶され、崩れにくい強固な土台が完成します。
創った立ち上がりを「支える」ためのワックス術
ドライヤーで完璧な土台を創り上げたら、いよいよその立ち上がりを一日中支えるためのワックスで仕上げていきます。
立ち上げに適したワックスの選び方
創り上げた根元の立ち上がりを潰さず、力強くキープするためには、セット力が高く、かつ油分が少なく軽い使用感のワックスを選ぶことが重要です。ドライな質感でふんわりとしたボリュームを維持しやすい**「マットタイプ」や「クレイタイプ」**のハードワックスが最も適しています。
ワックスは「下から上へ」と馴染ませる
小豆一粒大ほどのワックスを手のひらで完璧に伸ばしたら、髪の表面から押さえつけるように付けるのは厳禁です。髪の内側に下から手を入れ、ドライヤーで立ち上げた根元を支えるように、優しく揉み込むようにしてワックスを馴染ませます。最後に、指先に残ったワックスで毛先をつまみ、束感を創り出してスタイルを完成させましょう。
最高の立ち上がりは、最高の「土台」から
これまでにご紹介した方法を実践すれば、スタイリングの質は劇的に向上するはずです。しかし、そもそもお客様一人ひとりの髪質や骨格に合わせて、根元が立ち上がりやすいように、そしてボリュームが出やすいように緻密に計算されたベースカットが施されていなければ、日々のスタイリングの難易度は上がってしまいます。
私達プロのスタイリストは、お客様がご自宅で簡単に理想のスタイルを再現できるよう、カットの段階からデザインを創り上げます。そして、そのカットデザインを最大限に活かすための高品質な**「サロン専売品」**の中から最適な一品を選び出し、目の前で実践しながら、このプロの技術をマンツーマンで丁寧にお伝えさせていただきます。
もう、髪が立ち上がらないと悩む必要はございません。その答えを見つけるために、ぜひ一度、私達にご相談ください。