セット力強めのワックスを使いこなす|崩れないスタイルを創るプロの選択
朝に創り上げたヘアスタイルを、夕方まで、あるいは一日中完璧な状態で維持したい。そう願う方にとって、「セット力強め」のヘアワックスは、スタイリングの最も頼れるパートナーです。しかし、ただセット力が強いという理由だけでワックスを選んでしまい、上手く扱いきれずに「固まりすぎる」「重くなる」といった失敗を経験された方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、セット力強めのワックスが持つ本当の性能を引き出し、理想のスタイルをキープするための、プロが実践する選び方と使い方について詳しく解説いたします。
「セット力強め」のワックスはどのような時に必要か
まず、どのような髪質やヘアスタイルの方が、セット力強めのワックスを必要とするのでしょうか。主に、髪一本一本にハリとコシがある「硬毛」や、毛量が多くてスタイルが潰れやすい方、あるいは髪がまっすぐで動きがつきにくい「直毛」の方が、その恩恵を最も受けることができます。また、ヘアスタイルとしては、髪の根元からしっかりと立ち上げるショートスタイルや、毛束感を強調した立体的なスタイル、重力に逆らうような大胆な動きを創り出す際に、その強力なホールド力が不可欠となります。
セット力に優れたワックスの代表的な種類
「セット力強め」と一括りに言っても、その質感や特性によっていくつかの種類に分類されます。なりたいスタイルに合わせて最適な種類を選ぶことが、成功への第一歩です。
ドライで力強いホールド力「クレイワックス」「マットワックス」
これらのワックスは、ツヤを極限まで抑えたドライな質感が特徴です。クレイ(泥)成分などが含まれており、髪の余分な油分や湿気を吸収し、力強く髪をホールドします。ベタつきが少なく、ボリュームを出しながらも軽い仕上がりになるため、無造作でラフな束感を創り出すのに最適です。現代のメンズヘアスタイルにおいて、最も支持されている種類の一つと言えるでしょう。
確実な固定力「ハードワックス」「ファイバーワックス」
より確実な固定力や、しなやかでありながら強い束感を求める場合は、一般的な「ハードワックス」や、繊維の力で髪をまとめる「ファイバータイプ」のハード系ワックスが適しています。これらは、創った毛束や毛流れをがっちりとキープする能力に長けています。
最強のセット力を引き出すための正しいスタイリング術
最高の武器を手に入れても、その使い方が間違っていては意味がありません。セット力強めのワックスの性能を120%引き出すための、プロが最も重要視する手順をご紹介します。
1.ドライヤーで髪型の「骨格」を創り上げる
何度もお伝えしている通り、スタイリングの成否はドライヤーで決まります。ワックスは、あくまでドライヤーで創った髪の立ち上がりや毛流れといった「骨格」を、その強力なセット力で固定し、維持させるためのものです。髪を完全に乾かしながら、なりたいスタイルの8割以上をこの段階で完成させてください。
2.硬いワックスは「体温」で完璧に溶かす
セット力強めのワックスは、テクスチャーが硬いものが多くあります。これを無理に髪につけようとすると、ダマやムラの原因となります。適量を手のひらに取ったら、両手を強く擦り合わせ、摩擦熱と体温でワックスを完全に溶かし、透明なオイル状になるまで完璧に伸ばし広げてください。指の間までしっかりと伸ばすことが重要です。
3.髪の「根元」から力強く、しかし優しく
準備ができたら、髪の表面からではなく、スタイルを支える土台となる髪の根元付近に、下から指を差し入れるようにしてワックスを馴染ませます。髪全体に空気を含ませるように、一度大胆に髪を散らし、その後、全体のシルエットを整え、最後に指先に残ったワックスで毛束をつまんで仕上げます。
プロが選ぶ「本物」のセット力とは
市販のワックスの中にも「最強」を謳う製品は数多く存在します。しかし、プロが求める「本物」のセット力とは、単に硬く固まることではありません。
私達サロンで取り扱うプロフェッショナル仕様のスタイリング剤、いわゆる**「サロン専売品」**は、強力なセット力を持ちながらも、驚くほど伸びが良く、髪に重さを感じさせません。そして、時間が経っても湿気や汗に負けず、それでいてシャンプーの際にはスムーズに洗い流せる。こうした、相反する要素を極めて高いレベルで両立していることこそ、プロが選び続ける理由です。
お客様の髪質と理想のスタイルを、一日中最高の状態で維持するための一品を、私達が責任を持ってお選びいたします。ぜひ一度、その違いをご体感ください。