ヘアワックスが固まった時の対処法|正しい知識で製品と髪型を蘇らせる
お気に入りのヘアワックスを使おうとした際に、容器の中でカチカチに固まってしまっていたり、あるいは、髪につけたワックスが固まりすぎて、不自然な仕上がりになってしまったりしたご経験はございませんでしょうか。「ワックスが固まった」というこの現象には、二つの異なる状況が考えられます。この記事では、それぞれの原因と、その対処法について、プロの視点から詳しく解説いたします。
【容器の中でワックスが固まってしまった場合】
しばらく使っていなかったワックスの蓋を開けたら、表面が固まっていて指で取りにくくなっていた、というケースです。これは、ワックスに含まれるロウ成分や油分が、温度の低下によって固化したり、あるいは長期間空気に触れることで水分が蒸発し、表面が乾燥してしまったりすることが主な原因です。
固まったワックスを柔らかくする方法
もし固まり方が表面だけであれば、まだ使用できる可能性がございます。まず、清潔な指やスパチュラ(ヘラ)で、表面の固い部分を少し削り取り、その下にある柔らかい部分を使います。全体的に硬くなっている場合は、手のひらに少量を取り、両手を擦り合わせて体温で温めることで、ロウ成分が溶けて柔らかくなり、本来のテクスチャーに戻ることがあります。ただし、ドライヤーなどで直接容器を温めることは、成分の変質を招く可能性があるためお勧めできません。
ワックスの正しい保管方法と買い替えの目安
ワックスの固化を防ぐためには、使用後に必ずしっかりと蓋を閉め、極端な高温や低温、直射日光を避けた常温の場所で保管することが大切です。もし、温めても柔らかくならなかったり、色や香りが明らかに変化してしまっていたりする場合は、製品が劣化しているサインです。その際は、無理に使用せず、新しいものに買い替えることをお勧めいたします。
【髪につけたワックスが固まりすぎてしまう場合】
次に、スタイリングの際に、ワックスが髪の上でダマになったり、不自然に固まってパリパリとした質感になってしまったりするケースです。これは、ワックスの選び方や、その使い方に原因がある場合がほとんどです。
なぜ髪の上でワックスが固まるのか
この現象の主な原因は、ワックスを手のひらで十分に伸ばしきれていないことにあります。ワックスは、手のひら全体、指と指の間にまで広げ、体温で温めて透明になるまでしっかりと乳化させることが非常に重要です。この工程を怠ると、ワックスが塊のまま髪に付着し、均一に馴染まずに部分的に固まってしまいます。また、一度に多くの量をつけすぎたり、髪が濡れた状態でつけたりすることも、ダマや過度な固まりの原因となります。
固めつつも、しなやかに仕上げるスタイリング術
スタイルをしっかりキープするために固めたいけれど、不自然な質感は避けたい、というのが理想かと存じます。そのためには、セット力の高いワックスを選びつつも、まずは少量(小豆一粒大が目安)を手に取り、前述の通り完璧に手のひらで伸ばしてから、髪の内側から空気を含ませるように、少しずつ馴染ませていくことが重要です。足りなければ、同じ工程を繰り返します。この丁寧なプロセスが、固めるべきところは固め、動かす部分はしなやかに仕上げるプロの技術の基本です。
質の高いスタイリング剤という選択
これまでにご紹介した対処法を実践しても、なお製品の固まりや仕上がりの固さに悩まされる場合、それはお使いのスタイリング剤そのものを見直す時期かもしれません。
私達サロンで取り扱うプロフェッショナル仕様のスタイリング剤、いわゆる「サロン専売品」は、長期間品質が安定するように処方が工夫されており、容器の中で簡単には固まらないように設計されています。また、高いセット力を持ちながらも、髪の上で不自然に固まることなく、しなやかで再整髪しやすいという、相反する要素を高い次元で両立している製品が数多く存在します。
最高のパフォーマンスを常に安定して提供すること。それがプロの道具です。スタイリング剤に関するあらゆるお悩みは、ぜひ一度、髪の専門家である私達にご相談ください。