【理容師が答えます】洗髪の最適な『頻度』とは?毎日洗うべきか、一日おきが良いのか
「髪は毎日洗うのが当たり前」——多くの方が、幼い頃からの習慣として、そのように考えていらっしゃるかもしれません。しかしその一方で、「シャンプーのしすぎはかえって頭皮に良くないと聞いた」という情報に触れ、一体どのくらいの頻度で髪を洗うのが本当にベストなのか、迷われている方も少なくないのではないでしょうか。
実は、この洗髪の頻度という問題に、「すべての人に共通する絶対的な正解」というものは存在しません。なぜなら、その方の頭皮のタイプや、日々の生活習慣によって、最適な答えは全く異なってくるからです。今回は、お客様一人ひとりの頭皮と日々向き合っている私たち理容師の視点から、洗髪頻度を考える上での基本的な原則と、ご自身の状態に合わせた見極め方について、詳しく解説してまいります。
日本の気候と生活習慣における基本原則
まず、一般的な推奨事項としましては、多くの方にとって「一日一回、毎日洗髪すること」が基本となります。その理由として、日本の気候が高温多湿であり、季節によっては汗や皮脂の分泌が活発になりやすいこと。そして、現代のライフスタイルにおいて、ヘアワックスなどのスタイリング剤を使用する方が多いことなどが挙げられます。一日の活動で頭皮に付着した様々な汚れをその日のうちにリセットし、頭皮を清潔な状態に保つという衛生的な観点から、この「一日一回」という頻度が、一つの基準となるのです。
「洗いすぎ」が招くリスクとは
しかし、この「毎日洗う」という行為が、あるタイプの方にとっては「洗いすぎ」に繋がり、かえって頭皮トラブルを招いてしまう可能性がございます。特に、もともと頭皮が乾燥しやすい体質の方や、洗浄力の強いシャンプーをお使いの方が、一日に何度もシャンプーをしたり、必要以上にゴシゴシと強く洗いすぎたりした場合に、そのリスクは高まります。頭皮を外部の刺激から守るために必要な皮脂膜まで根こそぎ洗い流してしまうことで、頭皮のバリア機能が低下し、乾燥によるフケやかゆみを引き起こしたり、失われた潤いを補おうと、かえって皮脂が過剰に分泌されたりする悪循環に陥ってしまうのです。
「洗わなすぎ」が招くリスクとは
その一方で、もちろん「洗わなすぎ」にも大きなリスクが伴います。洗髪の頻度が低すぎると、頭皮にご自身が分泌した皮脂や汗、剥がれ落ちた古い角質、そして外部からの汚れがどんどん蓄積していきます。この汚れが毛穴を塞いでしまうと、そこを栄養源として雑菌が異常繁殖し、べたつきや不快な臭い、かゆみや炎症、脂漏性のフケといった、様々な頭皮トラブルの直接的な原因となります。健やかな髪が育つための土壌である頭皮環境が悪化することは、長期的には抜け毛の増加に繋がる可能性も否定できません。
ご自身の頭皮タイプに合わせた頻度の見極め方
それでは、ご自身にとって最適な頻度はどのように見極めれば良いのでしょうか。一つの目安として、ご自身の頭皮の状態を観察してみてください。夕方になると髪の根元がべたつき、ぺたんとボリュームダウンしてしまう方は、皮脂の分泌が活発な「脂性肌」の可能性が高いでしょう。このタイプの方は、基本通り毎日一回の洗髪で、頭皮を清潔に保つことをお勧めいたします。
逆に、洗髪後に頭皮がつっぱるような感覚があったり、粉のような乾いたフケが出やすかったりする方は、「乾燥肌」の傾向があります。このタイプの方は、洗浄力がマイルドなアミノ酸系のシャンプーを選んだ上で毎日優しく洗うか、あるいはスタイリング剤を使用しない休日などには、シャンプーを使わずにお湯だけで洗う「湯シャン」を取り入れてみるなど、頻度や方法を調整する選択肢も考えられます。
最適な頻度を知るには、プロの診断が一番です
ここまで見極め方のヒントをご紹介してまいりましたが、「自分は脂性肌だと思っていたら、実は乾燥が原因で皮脂が過剰分泌されるインナードライだった」というケースも多く、ご自身で正確な判断を下すのは非常に難しいものです。私たち理容師は、お客様の頭皮の状態を、専門的な知識と、時にはマイクロスコープのような機器を用いて、客観的に診断させていただくことができます。そして、その診断結果とお客様の生活習慣を丁寧にお伺いした上で、その方に本当に合った、最適な洗髪頻度と具体的なケア方法を導き出すことが可能です。
あなただけの「正解」を一緒に見つけましょう
洗髪の頻度に、たった一つの絶対的な正解はございません。「毎日洗うのが当たり前」という固定観念に縛られることなく、ご自身の頭皮と対話しながら、最適なバランスを見つけていくことが、健やかな頭皮への最も確実な道筋です。もし、ご自身の頭皮タイプが分からなかったり、現在の洗髪頻度に少しでも不安を感じたりした場合は、どうぞ一人で悩まずに私たちにご相談ください。誠実なカウンセリングを通じて、お客様だけの最適なヘアケア習慣を、一緒に見つけ出すお手伝いをさせていただきます。