【理容師が教える洗髪の全手順】美髪を育むための6ステップ・パーフェクトガイド
「あなたは毎日、髪を正しい『手順』で行えていますか?」
この問いに、自信を持って「はい」と答えられる方は、実はそう多くはないのかもしれません。なんとなく髪を濡らし、シャンプーをつけて、洗い流す…という一連の動作には、実は皆様の髪と頭皮の健康を最大限に引き出すための、理想的な「手順」というものが厳然と存在します。
この手順を正しく守り、日々の習慣としていただくことこそが、フケやかゆみといった頭皮トラブルを防ぎ、ハリとコシのある健やかな髪を育むための、最も確実で効果的な近道なのです。お客様の髪に日々向き合う私たち理容師が、サロン品質のケアをご自宅で再現していただくために、洗髪の完璧な手順を6つのステップに分けて、その目的と共に詳しく解説してまいります。
手順1:ブラッシング 〜洗髪は乾いた髪から〜
最高の洗髪は、シャワーを浴びる前の、髪が乾いた状態から始まります。まずは目の粗いブラシや、ご自身の手ぐしで、髪の毛先から優しくとかし始め、徐々に根元へと向かって全体の絡まりをほどいてください。この一手間には、シャンプー時の摩擦や不要な抜け毛を減らすだけでなく、頭皮の血行を促進し、表面に付着したホコリや古い角質を浮かび上がらせるという、非常に重要な目的があります。
手順2:予洗い 〜汚れの7割を落とす最重要工程〜
次に、いよいよ髪を濡らしていきますが、この「予洗い」こそが洗髪全体の質を決定づけると言っても過言ではありません。38度前後のぬるま湯で、最低でも1分以上、理想を言えば2分ほどの時間をかけて、指の腹で頭皮を優しくマッサージするように、頭部全体をまんべんなく、そして徹底的にすすいでください。この予洗いを丁寧に行うだけで、スタイリング剤や皮脂汚れの約7割は洗い流され、その後のシャンプーの泡立ちと洗浄効果を最大限に高めることができます。
手順3:シャンプー 〜頭皮を洗う意識で〜
予洗いで素洗いした髪に、いよいよシャンプー剤を使っていきます。適量のシャンプーを必ず手のひらに取り、少量のお湯を加えながら、空気を含ませるようにしてきめ細かく泡立てます。その豊かな泡を髪全体に行き渡らせたら、「髪の毛」ではなく「頭皮」を洗うという意識を持って、指の腹を頭皮に密着させましょう。決して爪を立てることなく、襟足や生え際といった部分から頭頂部に向かって、頭皮そのものを優しく揉み出すようにマッサージしてください。
手順4:すすぎ 〜洗浄時間の倍以上をかけて〜
シャンプーによる洗浄が完了したら、全工程の中で最も時間をかけるべき「すすぎ」の段階に移ります。洗浄にかかった時間の倍以上の時間をかけることを目安に、シャワーヘッドを頭皮に近づけながら、洗浄成分を完全に洗い流していきます。シャンプーの成分が頭皮に少しでも残留すると、あらゆる頭皮トラブルの元凶となります。特に、泡が残りやすい髪の生え際、耳の後ろ、そして襟足は、指で髪をかき分けながら、意識して念入りにすすいでください。
手順5:タオルドライ 〜擦らず、優しく水分を吸い取る〜
洗髪後の濡れた髪は、キューティクルが開いており非常にデリケートな状態です。吸水性の良い清潔なタオルを用意し、髪をゴシゴシと擦るのではなく、頭皮はタオルで優しく押さえるように、そして毛先はタオルで挟み込むようにして、ポンポンと軽く叩きながら水分を吸収させましょう。「拭き取る」のではなく、髪と頭皮に負担をかけずに「水分を吸わせる」という意識が、髪をダメージから守るための鍵となります。
手順6:ドライヤー 〜根元から完全に乾かしきる〜
タオルドライを終えたら、時間を置かずに速やかにドライヤーで髪を乾かします。濡れたままの放置は、雑菌繁殖の原因となるため絶対に避けてください。ドライヤーは髪から20cmほど離し、常に本体を振りながら熱が一箇所に集中しないよう注意します。最も乾きにくい頭皮と髪の根元から乾かし始め、最後に毛先を乾かすのが効率的な手順です。全体の8割ほど乾いたら、仕上げに冷風を髪全体に当てることで、開いていたキューティクルが引き締まり、髪に美しいツヤが生まれます。
正しい手順の先に、理想の髪はあります
ご紹介した6つの手順こそが、健やかな髪と頭皮を育むための王道であり、最も確実な方法です。毎日の洗髪でこの手順を意識していただくことが、未来のあなたへの最高の投資となります。この全手順をお客様一人ひとりの髪質や頭皮の状態に合わせて最適化し、最高の形でご提供するのが、私たち理容師の務めです。日々のケアで分からないことがあれば、あるいは、プロによる完璧な手順を一度ご体感されたいと思った時は、どうぞお気軽にご来店ください。誠実な技術で、お客様の理想のヘアスタイル作りを基礎からサポートいたします。