毛染めとヘアオイルの最適な関係とは?髪色を守り、美しさを引き出すプロの使い方
今や、性別を問わず多くの方のヘアケア習慣に欠かせないアイテムとなった「ヘアオイル」。髪に潤いと美しいツヤを与え、乾燥やダメージから守ってくれる、まさに心強い味方です。しかし、日常的にヘアカラーを楽しまれている方にとっては、「カラーをする前に使っても良いのだろうか」「染めた後に使うと、せっかくの色が落ちてしまわないだろうか」といった、ヘアオイルとの付き合い方に関する新たな疑問が生まれているのではないでしょうか。
使い方一つで、ヘアカラーの仕上がりや色持ちに影響を与えかねないヘアオイル。今回は、ヘアカラーの「前」と「後」、それぞれのタイミングにおけるヘアオイルとの正しい関係性について、私達プロフェッショナルの視点から詳しく解説してまいります。
ヘアカラーの「前」に、ヘアオイルはつけるべきか
まず、多くの方が疑問に思われる、ヘアカラーをする「前」のヘアオイルの使用についてです。結論から申し上げますと、ご自身で染められる直前や、サロンにご来店される当日に、スタイリング目的でヘアオイルを髪に塗布することは、基本的には避けていただくのが賢明です。
その理由は、ヘアオイルが持つ油分が髪の表面に薄い膜を張り、カラー剤が髪の内部へ浸透するのを妨げてしまう可能性があるからです。この油膜がバリアのようになってしまうと、薬剤が弾かれて染まりムラが生じたり、本来の色が綺麗に発色しなかったりする原因となり得ます。
「オイルで頭皮や髪を保護できるのでは?」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、これはサロンで施術の直前に、私達プロがお客様の頭皮の状態を見極め、専用の保護オイルを適切な範囲に、適切な量だけ塗布する専門技術です。スタイリング目的で髪全体につける市販のヘアオイルとは、その目的も成分も異なりますので、同様の効果は期待できません。
ヘアカラーの「後」こそ、ヘアオイルが真価を発揮する
ヘアカラーの前には少し相性の悪いヘアオイルですが、施術を終えた「後」の髪にとっては、これ以上ないほど頼りになるパートナーへと変わります。
ヘアカラー後の髪は、薬剤の化学反応によってキューティクルが開きやすく、内部の水分が蒸発して乾燥しやすい、非常にデリケートな状態にあります。このタイミングでヘアオイルを使用することで、髪の表面を優しくコーティングし、潤いが逃げてしまうのを防ぐことができます。また、ドライヤーの熱や、就寝時の枕との摩擦といった、日々の生活における外部からの物理的な刺激から髪を守る、保護膜としての役割も果たしてくれます。失われがちな髪のツヤを補い、パサつきを抑えてまとまりのあるスタイルを維持するためにも、カラー後のヘアオイルは非常に有効なケアアイテムなのです。
カラー後のヘアオイル、気になる疑問と正しい使い方
それでは、カラー後のヘアオイルは、いつから、どのように使うのが最も効果的なのでしょうか。まず、使い始めるタイミングですが、色素が髪の内部で定着し始める施術の翌日以降、特にシャンプー後のタオルドライした髪にご使用いただくのがお勧めです。
「オイルを使うと色落ちが早まるのでは?」というご心配の声をいただくこともございますが、ヘアオイルそのものが染料を溶かし出して色落ちを促進させる、ということは基本的には考えにくいです。むしろ、先述の通りキューティクルをコーティングして保護することで、内部の色素が流れ出てしまうのを穏やかに防ぐ効果の方が期待できます。
最も効果的な使い方は、タオルで優しく水分を拭き取った、少し湿り気のある髪の、特にダメージが気になる毛先部分を中心になじませ、その後ドライヤーで根元から乾かしていくという手順です。これにより、ドライヤーの熱から髪を守りつつ、オイルの成分が髪に均一に行き渡ります。
プロフェッショナルが考える、最適なオイルケア
私達は、サロンでのカラー施術の最終工程においても、お客様の髪の状態に合わせた最適なオイルやクリームを塗布し、ご自宅に戻られた後のコンディションまでを計算して仕上げを行っております。
また、ヘアオイルと一言で申しましても、軽い質感のものから重くしっとりとした質感のものまで、その種類は多岐にわたります。私達プロは、お客様一人ひとりの髪質、ヘアスタイル、そしてお求めになる仕上がりの質感に合わせて、数ある製品の中から最適な一品を選び出し、その効果的な使い方までアドバイスさせていただくことができます。
正しい知識で、ヘアオイルを最高の味方に
ヘアオイルは、ヘアカラーと決して敵対するものではありません。タイミングと使い方という、ほんの少しの知識を持つだけで、あなたの美しい髪色をより長く、そしてより美しく輝かせるための、最高のパートナーとなり得るのです。その正しい知識と、あなたに本当に合った製品選びは、ぜひ私達のような髪の専門家にご相談ください。