その髪色、もっと長く楽しむために。プロが教える毛染めを長持ちさせるコツ
理容室や美容室で手に入れた、理想のヘアカラー。鏡を見るたびに心が弾むその美しい髪色を、一日でも長く維持したいと願うのは、誰もが思うことではないでしょうか。しかし、日々の生活の中で少しずつ色が褪せていくのは、仕方のないことと諦めてしまっている方も少なくないかもしれません。
ヘアカラーの色落ちは完全に防ぐことはできませんが、日々の少しの心がけ、つまり「コツ」を実践することで、そのスピードを穏やかにし、美しい色合いを長く楽しむことは十分に可能です。今回は、明日からすぐに実践できる、プロが推奨するヘアカラーを長持ちさせるための具体的なケア方法をご紹介いたします。
色落ちのメカニズムを理解することから始めましょう
効果的な対策を行うためには、まずなぜ髪色が落ちてしまうのか、その根本的な原因を理解することが大切です。色落ちの主な原因は、髪のダメージ、日々の洗浄、そして紫外線などの外部刺激の三つが挙げられます。
ヘアカラーや日々の生活で髪がダメージを受けると、髪の表面を覆うキューティクルが剥がれたり開いたりしてしまいます。その隙間から、髪の内部に定着していた色素が少しずつ流れ出てしまうのです。また、毎日のシャンプーによる洗浄や、紫外線やドライヤーの熱なども、色素を分解させたり変質させたりする原因となります。これらの原因を理解し、それぞれに合った対策を講じることが、色持ちを良くするための鍵となります。
染めた直後から始める、最も重要な48時間のケア
ヘアカラーの色持ちを左右する上で、最も重要と言えるのが、染めた直後から約48時間の過ごし方です。この期間は、染料がまだ髪の内部で完全に定着しきれておらず、非常に不安定で色が流出しやすい状態にあります。
そのため、施術当日のシャンプーは可能な限り控えていただくのが理想です。もし汗などで気になる場合でも、シャンプー剤は使わずにぬるま湯で優しくすすぐ程度に留めましょう。このデリケートな期間をいかに穏やかに過ごすかが、その後の色持ちの基盤を作ります。
毎日のシャンプーとトリートメントを見直す
日々のヘアケアの中で、最も色落ちに影響するのがシャンプーです。まず、お湯の温度に注意しましょう。熱いお湯はキューティクルを開かせる原因となるため、38度程度の少しぬるいと感じるくらいのお湯で洗い流すことをお勧めします。
そして、使用するシャンプー剤選びも非常に重要です。市販の洗浄力が強いシャンプーは、汚れだけでなく必要な油分や色素まで洗い流してしまうことがあります。アミノ酸系などの洗浄成分がマイルドなものや、色素の流出を防ぐ成分が配合された「カラーケア専用シャンプー」に切り替えるだけで、色持ちは格段に向上します。また、シャンプー後のトリートメントで髪のダメージを補修し、キューティクルの状態を整えることも、色素を閉じ込めるために不可欠なケアです。
髪を乾かす時にも大切なポイントが
お風呂上がりの濡れた髪は、キューティクルが開いた非常にデリケートな状態です。そのまま自然乾燥させると、開いたキューティクルから色素が流出しやすくなるだけでなく、髪が傷む原因にもなります。洗髪後は、できるだけ速やかにドライヤーで乾かすことを心がけてください。
その際、ドライヤーの熱から髪を守るために、洗い流さないタイプのトリートメントを事前に塗布するのが効果的です。髪から20cmほど離し、同じ場所に熱が集中しないようにドライヤーを動かしながら、根元から毛先の順に乾かしていくのが基本です。
日中の紫外線や熱からも髪を守る
見落としがちですが、日中の外部刺激も色落ちの大きな要因です。髪は肌と同じように紫外線の影響を受け、長時間強い日差しを浴びると、カラーの色素が分解されてしまいます。外出の際には、髪にも使えるUVカットスプレーを利用したり、帽子をかぶったりするなどの対策が有効です。
また、ヘアアイロンやコテを日常的に使用される方は、設定温度に注意が必要です。高温は髪に大きな負担をかけるだけでなく、色素を変質させてしまうこともあります。温度は160度以下を目安にし、同じ場所に長く当てすぎず、短時間で仕上げるようにしましょう。
最高のケアは、信頼できる理容師との二人三脚で
ここまでご自宅でできるケアのコツをご紹介してまいりましたが、美しい髪色を長く維持するためには、その土台となるサロンでの施術そのものが最も重要です。お客様の髪質を深く理解し、ダメージを最小限に抑えながら色持ちが良いように染め上げる技術は、プロフェッショナルならではのものです。
私達はお客様の髪の状態やライフスタイルをお伺し、最適なホームケアの方法や製品をご提案することも大切な役割だと考えております。定期的なサロントリートメントによるメンテナンスと、日々の正しいご自宅でのケア。この二人三脚で、お客様とご一緒に、いつまでも美しいヘアカラーを育てていきたいと願っています。