毛染め後のお風呂、注意点は?誠実な理容師が教える色持ちが変わる入浴法
理容室で理想の髪色に仕上がり、鏡をご覧になった時の新鮮な気持ち。その美しい髪色を、一日でも長く楽しみたいと願うのは、皆様に共通するお気持ちかと存じます。実は、私たちが毎日何気なく入っている「お風呂」での過ごし方こそが、ヘアカラーのその後の色持ちを大きく左右する、非常に重要な時間であることはご存知でしょうか。今回は、染めたてのデリケートな髪を守り、美しい髪色を長持ちさせるための、正しいお風呂でのヘアケア方法について、プロの視点から詳しく解説させていただきます。
ヘアカラー当日の入浴で、最も注意すべきこと
ヘアカラーをされた当日は、髪も頭皮も薬剤の影響で非常にデリケートな状態にあります。そして何より、髪の内部に浸透させた色素が、まだ完全には定着しきれておりません。そのため、もし可能であれば、施術当日のシャンプーはお控えいただくのが最も理想的です。どうしても汗や汚れが気になるときには、洗浄剤は使わず、ぬるま湯で髪を優しくすすぐ程度に留めていただくことをお勧めいたします。この染めた直後の最初の二十四時間の過ごし方が、その後の色持ちの善し悪しを決定づける、大切な土台作りとなるのです。
毎日のシャンプーで心掛けたい、色落ちを防ぐポイント
日々の入浴においても、いくつかのポイントを心掛けるだけで、色落ちは格段に穏やかになります。まず意識していただきたいのが、お湯の温度です。熱いお湯は、髪の表面を覆うキューティクルを開かせる性質があり、そこから色素が流れ出る大きな原因となります。髪にとっては、少しぬるいと感じる程度の三十八度前後の温度が最適です。そして、シャンプー剤は洗浄力の強いものではなく、アミノ酸系などの成分が穏やかな製品や、カラーヘア専用のものをお選びください。爪を立ててゴシゴシと擦るのではなく、指の腹で頭皮を優しくマッサージするように洗うことも、髪と頭皮をいたわる上で重要です。
お風呂上がりの習慣が、髪色と髪の健康を左右する
美しい髪色を保つ上で、お風呂の中でのケアと同じくらい大切なのが、お風呂から上がった後の習慣です。髪が濡れたままの状態は、キューティクルが開きっぱなしになっており、外部からのダメージを最も受けやすい無防備な状態です。色素が流出しやすいだけでなく、雑菌が繁殖して頭皮トラブルの原因にもなりかねません。お風呂から上がられましたら、まずは乾いたタオルで髪を強く擦るのではなく、優しく叩くようにして水分を拭き取り、その後は速やかにドライヤーで髪を乾かすことを徹底してください。髪を乾かす前には、熱から髪を守るための洗い流さないトリートメントを塗布することが、未来の美しい髪を育むための重要な一手間となります。
ご自宅のお風呂場で染める際のリスクについて
ご自身で染められる際に、お風呂場を利用される方もいらっしゃるかと存じます。しかし、ご自宅の浴室でのセルフカラーには、いくつかの注意点がございます。浴室は密閉された空間になりやすいため、薬剤の揮発成分によって気分が悪くなることも考えられますので、十分な換気は必須です。また、薬剤が壁や床、浴槽などに付着すると、色素が沈着して落ちにくいシミになることもございます。そして何よりも、鏡で見えない後頭部などをムラなく均一に塗布するのは至難の業です。安全で確実な仕上がりをお求めになるのであれば、やはり全ての設備が整った理容室で、専門家である私たちにお任せいただくのが最善の選択と言えるでしょう。
正しいバスタイムの習慣で、理想のヘアカラーをいつまでも
サロンで手に入れたお気に入りの髪色も、日々の何気ない習慣によって、その寿命は大きく変わってまいります。しかし裏を返せば、お風呂での過ごし方を少し見直すだけで、驚くほど長く、美しい髪色をお楽しみいただくことが可能になるのです。私たち誠実な理容師は、最高の技術で施術をご提供するのはもちろんのこと、お客様がご自宅にお帰りになられた後のケア方法まで、責任を持って丁寧にアドバイスさせていただくことこそ、真のプロフェッショナルの務めであると考えております。髪に関するどのような些細な疑問でも、どうぞお気軽にご相談ください。