「毛染め」の言い換えは?誠実な理容師が解説するヘアカラー用語の基礎知識
「髪を染めたい」と考えられた時、その行為を指す言葉として「毛染め」や「ヘアカラー」、「カラーリング」など、様々な表現が思い浮かぶことと存じます。普段、何気なく使っているこれらの言葉ですが、実はそれぞれが持つニュアンスや、プロの世界で指し示す技術が異なる場合がございます。今回は、皆様がご自身のなりたいイメージをより正確に私たち専門家へお伝えいただく一助となるよう、ヘアカラーに関する様々な言葉とその意味について、一つひとつ丁寧に解説させていただきます。
日常で使う「毛染め」の様々な表現
まず、私たちの日常会話でよく使われる言葉について見ていきましょう。「毛染め」や「髪染め」という言葉は、髪の色を変えるという行為全般を指す、最も広く知られた表現です。一方で、近年、理容室や美容室で一般的に使われているのが「ヘアカラー」や「カラーリング」という言葉です。これらは、単に色を変えるだけでなく、よりデザイン性の高い、お洒落な髪色にするというニュアンスを強く含んでいます。日常ではどの言葉をお使いいただいても意図は伝わりますが、サロンでは「ヘアカラー」という表現が主流となっております。
プロが使い分ける、染め方の違いによる呼び方
サロンの現場では、髪を染める仕組みや薬剤の違いによって、さらに専門的な言葉を使い分けています。例えば、皆様が「ヘアカラー」と聞いてイメージされる施術の多くは、専門的には「アルカリカラー」と呼ばれます。これは、髪の表面を覆うキューティクルを開き、髪の内部で色素を発色させる方法です。髪を明るくしながら色を入れることができ、色持ちが良いのが特徴です。
これに対し、「ヘアマニキュア」という施術もございます。これは、髪の表面に色の付いた膜をコーティングする方法で、髪へのダメージが非常に少ないのが利点です。ただし、髪を明るくすることはできず、色持ちはアルカリカラーに比べて穏やかです。また、髪の色素そのものを抜く施術は「ブリーチ」と呼ばれ、ハイトーンカラーや鮮やかな色味を表現するための下地作りとして行われます。
「白髪染め」と「おしゃれ染め」の違いとは
お客様からよくご質問いただくのが、「白髪染め」と「おしゃれ染め」の違いについてです。この二つは、基本的な仕組みは同じ「アルカリカラー」ではありますが、その目的と染料の配合に違いがございます。「白髪染め」は、色のない白髪をしっかりと染め上げるために、ブラウンの色素が多く含まれています。一方、「おしゃれ染め」は、透明感や鮮やかな色味を表現することに重きを置いて設計されています。しかし、近年の技術の進歩は目覚ましく、おしゃれ染めのような明るさや透明感を持ちながら、白髪にも対応できるカラー剤も増えておりますので、白髪があるからとお洒落を諦める必要は全くございません。
正しい言葉で、理想のヘアスタイルへ
このように、「毛染め」一つをとっても、その背景には様々な技術や種類が存在します。しかし、お客様にとって最も大切なのは、これらの専門用語を完璧に覚えていただくことではございません。「どのような自分になりたいか」「周囲にどのような印象を与えたいか」といった、お客様の漠然としたイメージを、ぜひ私たちにお聞かせください。私たちは、お客様の言葉の断片を丁寧につなぎ合わせ、専門的な知識と技術をもって、お客様にとって最善の施術をご提案させていただきます。言葉の違いが分からなくても、どうぞご安心の上、お気軽にご相談いただけますと幸いです。