「髪を梳く」最適な期間とは?プロが教える、ベストコンディションを保つ秘訣
ヘアサロンで髪を梳いてもらい、手に入れたばかりの軽やかで扱いやすいヘアスタイル。その快適さに満足しながら日々を過ごす中で、ふと「次に髪を梳いてもらうのは、いつ頃が良いのだろう?」「カットに行くたびに、毎回梳いてもらうべきなのだろうか?」と、次回のメンテナンスのタイミングについて、迷われたことはございませんか。ご自身のヘアスタイルを、常に最高の状態で保ちたいと願うそのお気持ちは、ご自身の魅力を大切にされている、何よりの証です。今回は、その「髪を梳く」最適な期間を見極めるための、私たちプロの視点と考え方について、詳しく解説してまいります。
明確な「正解」がない、その理由
まず初めにお伝えしたいのは、「髪を梳く期間は、〇ヶ月が正解です」といった、全ての方に当てはまる画一的な答えは存在しない、ということです。なぜなら、お客様一人ひとりの髪が伸びるスピード、元々の毛量の多さ、そして現在のヘアスタイルの種類(ショートヘアか、ミディアムヘアか、など)によって、スタイルが崩れ始め、「重さ」を感じるようになるタイミングは、全く異なってくるからです。そのため、カレンダー上の「期間」で一律に管理するのではなく、ご自身の髪が発する小さな「サイン」に気づき、それを基準に判断することが、何よりも大切なのです。
これが「梳き時」のサイン。ご自身の髪と対話しよう
では、具体的にどのような状態になったら、髪を梳くべきタイミングなのでしょうか。ご自身の髪と対話するように、以下のサインがないかチェックしてみてください。
① スタイリングが、決まりにくくなった時
毎朝のヘアセットに、以前よりも時間がかかるようになった。あるいは、ワックスなどのスタイリング剤をつけても、思うように髪に動きが出にくくなった。それは、髪の内側の毛量が増え、全体のバランスが崩れ始めている、分かりやすいサインの一つです。
② 全体的に「重さ」や「厚み」を感じ始めた時
シャンプー後のドライヤーで、髪が乾くのに以前より時間がかかるようになったり、見た目にヘルメットのような、どことなく野暮ったいシルエットを感じたりしたら、それは毛量調整が必要な時期が来たことを示しています。
③ サイドの膨らみが、特に気になりだした時
特に、ハチ周り(頭の角の部分)が膨らんで、ヘアスタイル全体のシルエットが四角く見え始めたら、髪の内側を梳いて、自然な収まりを取り戻す絶好のタイミングと言えるでしょう。
目安としての、ヘアスタイル別メンテナンス期間
ご自身の感覚を大切にしていただきつつも、あくまで一般的な目安として、ヘアスタイル別のメンテナンス期間をご紹介します。シルエットの変化が分かりやすいベリーショートやフェードスタイルは「約3週間から1ヶ月」。ショートからミディアムスタイルは、根元の伸びと共に重さが気になり始める「約1.5ヶ月から2ヶ月」が、スタイルをリフレッシュさせる最適なタイミングと言えるでしょう。
プロの理容師は、あなたの「髪の主治医」です
私たち誠実な理容師は、その日一日の施術だけで、仕事が終わりとは考えておりません。前回のご来店時に、どの部分を、どのくらい梳かせていただいたか。そして、そこから時間が経過し、現在の髪がどのような状態にあるか。お客様一人ひとりのための「髪のカルテ」を、常に頭の中に描きながら、施術に臨んでいます。そのカルテに基づき、「今回はまだ全体のバランスが良いので、梳かなくても大丈夫そうですね」「この膨らみやすい部分だけ、少し調整しておきましょう」といった、お客様の髪の健康とスタイルを第一に考えた、長期的な視点でのご提案をさせていただくこと。それこそが、いつでも相談できる、かかりつけの「髪の主治医」としての、私たちの最も大切な役割なのです。
「髪を梳く」最適な期間は、カレンダーが決めるものではありません。それは、お客様ご自身の髪の状態と、その変化を的確に診断する、私たちプロの目利きが決めるものです。ご自身の髪が出す小さなサインに気づかれたなら、それは私たち専門家にご相談いただく絶好のタイミングです。いつでもあなたの髪のベストコンディションを、私たちと一緒になって見つけてまいりましょう。