「髪を梳くと痛む」は本当?プロが明かす、ダメージの真実と正しい毛量調整
ヘアスタイルに軽やかな動きを与え、日々のスタイリングを楽にしてくれる「髪を梳く」という技術。しかしその一方で、「髪を梳くと痛む」「かえってパサパサになってしまう」といった、ダメージに関する不安な声を耳にすることも少なくありません。その不安は、果たして本当に正しいのでしょうか。そしてもし本当だとしたら、私たちはもう二度と、髪を梳くべきではないのでしょうか。今回は、その疑問の核心に迫り、お客様の大切な髪を健やかに保ちながら、理想のスタイルを叶えるための答えを、プロの視点から誠実にお伝えしてまいります。
【結論】梳き方次第で、髪は痛みます
まず、皆様が抱かれているご不安に対して、私たちは専門家として正直にお答えしなければなりません。「はい。残念ながら、間違った方法で髪を梳くと、それが髪を痛める直接的な原因となり得ます」。髪の表面は、うろこ状のキューティクルという組織で覆われ、内部の水分や栄養分を守っています。しかし、切れ味の悪いハサミでむやみに髪を梳いたり、無理に毛束を引きちぎるようにカットしたりすると、このキューティクルが必要以上に傷つけられてしまいます。その傷ついた部分から、髪の生命線とも言えるタンパク質や水分が流出し、結果としてパサつきや枝毛といったダメージに繋がってしまうのです。
ダメージに繋がる「やってはいけない」梳き方
では、ダメージに繋がる「間違った梳き方」とは、具体的にどのようなものでしょうか。例えば、髪が濡れてキューティクルが開いている、非常にデリケートな状態で、必要以上にすきバサミを入れること。あるいは、髪の根元近くから無計画に梳いてしまい、短い毛が表面にたくさん出てきて、まとまりの悪さやパサつきを強調してしまうこと。そして何よりも、日々の手入れを怠った、切れ味の悪いハサミを使い続けること。これらはすべて、髪に不必要な負担を強いる、避けるべき行為です。
髪を守る、プロフェッショナルの「正しい梳き方」
私たちプロの理容師は、髪がダメージを受けるメカニズムを熟知しているからこそ、それを回避するための知識と技術を徹底しております。多くの場合、髪が乾いた状態で、一本一本の髪の動きや全体のバランスを正確に見極めながら、本当にボリュームを調整する必要がある部分だけを、最小限の回数で的確に梳いていきます。それは、髪の表面のツヤを損なうことなく、髪の「内側」に計算された空間を作り出す、非常に繊細な作業です。また、すきバサミだけでなく、時には通常のハサミを使った技法を駆使し、髪への負担を限りなく抑えながら、理想の軽さや動きを表現していきます。
あなたの髪の健康を、私たちは何よりも大切にします
私たちの仕事は、その日一日だけが格好良い、刹那的なヘアスタイルを創ることではございません。お客様の髪が、5年後、10年後も健やかで美しい状態であることを目指し、常に長期的な視点を持ってハサミを握ることです。そのため、お客様の髪のダメージレベルや健康状態によっては、あえて「梳かない」という選択をご提案することや、ダメージを補修するトリートメントメニューを併せてお勧めすることもございます。それこそが、お客様の髪の未来を真剣に考えた、私たちの誠実さの証なのです。
「髪を梳くと痛む」というご懸念は、施術を行う技術者の知識とスキル、そしてお客様の髪への深い愛情があれば、十分に回避できる問題です。目先の軽さやデザインのためだけに、あなたの大切な髪を犠牲にするような仕事は、私たちは決していたしません。髪の健康を第一に考えるプロフェッショナルの技術を、ぜひ一度ご体験ください。