理髪店のサインポールが持つ本当の意味とは?三色に込められた歴史と誇り
街角で、赤・白・青の縞模様が静かに回り続ける「サインポール」。それは、単なる理髪店の目印ではありません。世界中の理髪店の店先で輝くこのシンボルには、理容師という仕事が紡いできた長い歴史と、お客様への責任を象負う、誇り高くも深い物語が刻まれています。この記事では、多くの方が当たり前の光景として目にしているサインポールが持つ、本当の意味について詳しくご紹介いたします。
サインポールの起源は中世ヨーロッパにあり
サインポールの歴史を紐解くには、遠く中世のヨーロッパまで時代を遡る必要があります。当時、理容師は髪を切るだけでなく、外科医の役割も兼ねる「理容外科医(Barber Surgeon)」として、人々の健康を支える重要な存在でした。彼らが行っていた治療の一つに「瀉血(しゃけつ)」という、体内の悪い血を抜き取るという医療行為があり、この瀉血療法こそが、サインポールのデザインの起源になったというのが最も有力な説です。
赤・白・青、三つの色が象徴するもの
サインポールを特徴づける、赤・白・青の三つの色。これらは、前述した理容外科医が行っていた医療行為に由来すると言われています。「赤」は動脈の血を、「青」は静脈の血を、そして「白」は治療に使われた包帯を、それぞれ象徴しているのです。治療の際に患者が握った棒と、洗い終えた包帯を干していた様子が、今日のサインポールの原型になったとされています。理髪店のシンボルに、このような医療の歴史が背景にあったとは、大変興味深い事実ではないでしょうか。
時代を超えて受け継がれる「信頼と専門性の証」
理容師が外科手術を行わなくなった現代においても、サインポールが持つ本質的な意味は変わりません。それは、国家資格を持ち、公衆衛生に関する専門的な知識を備えたプロフェッショナルが、お客様をお迎えする場所であるという「信頼と専門性の証」です。お客様の大切な身体の一部である髪や肌に、責任を持って直接触れる仕事だからこそ、その安全性と確かな技術力を、サインポールは静かに示し続けているのです。
誠実な理容師がサインポールに込める想い
私たち理容師は、店の前にサインポールを掲げることを、単なる慣習とは考えておりません。それは、理容師という仕事が持つ長い歴史と社会的な責任を受け継ぎ、守り続けていくという誓いの表れです。この筑紫野の地で、お客様一人ひとりの容姿と真摯に向き合い、最高の技術と心遣いをご提供するという誠実な想い。あの静かに回転する三色の光には、私たちのそんな決意が込められています。次にサインポールを見かけた際には、ぜひその歴史に思いを馳せてみてください。