もう迷わない、理容室での髪型の頼み方|理想のスタイルを叶える伝え方のコツ
理容室の椅子に腰掛け、鏡の前に座った瞬間、「自分のなりたい髪型を、どう伝えれば良いのだろう」と、少しばかり緊張や不安を感じたご経験はございませんか。専門的な用語も分からないし、曖かいなイメージしかない。そんな風に思われる方も少なくないかと存じます。しかし、理想のヘアスタイルは、お客様と私達理容師との丁寧な意思疎通、すなわち「頼み方」と「聞き方」の共同作業があってこそ完成するものです。この記事では、お客様が安心してご自身の希望を伝えるための、髪型の頼み方のコツについてご紹介いたします。
最も確実な方法は、写真で「イメージ」を共有すること
もし、ご自身の理想とするイメージに近いヘアスタイルの写真や画像がございましたら、ぜひそれをお見せください。言葉では表現しきれない全体のシルエットや、毛先の細かなニュアンス、そして何よりも「こんな雰囲気になりたい」というイメージを共有する上で、写真に勝るコミュニケーションツールはございません。正面からだけでなく、横や後ろからの写真があれば、より完璧にイメージを共有することができます。また、「全体はこのままで、襟足の雰囲気だけこの写真のようにしたい」といった、部分的なご要望をお伝えいただく際にも、写真は大変有効です。
言葉で頼む際の、3つの基本ポイント
お手元に写真がない場合でも、いくつかのポイントを押さえてお話しいただければ、私達プロは十分にお客様のイメージを汲み取ることができます。どうぞ、リラックスしてお話しください。
「長さ」は、顔のパーツを基準に伝える
「全体を3センチ短く」といった頼み方は、実は仕上がりのイメージがしづらい場合がございます。それよりも、「眉毛が隠れないくらいの長さに」「耳がすっきりと見えるように」「もみあげは耳の半分くらいまで」といったように、ご自身の顔のパーツを基準にして長さの希望をお伝えいただくと、非常に分かりやすく、イメージのズレも少なくなります。
「サイドと襟足」のデザインを伝える
ヘアスタイル全体の印象を大きく左右するのが、サイド(横)と襟足(後ろ)のデザインです。ここはぜひ、「刈り上げて、地肌が見えるくらい短くしたい」のか、それとも「ハサミで、自然な感じに残したい」のか、ご希望をお聞かせください。「ツーブロックにしたい」といったご要望も大歓迎です。もし分からなければ、「横が膨らまないように、すっきりとさせたい」といった雰囲気でお伝えいただくだけで結構です。
「普段のあなた」を伝えることも、実はとても重要です
お客様の「普段」についてお聞かせいただくことは、私達がお客様にとって本当に最適なスタイルをご提案する上で、非常に重要なヒントとなります。例えば、普段の服装はスーツが多いのか、カジュアルな服装が多いのか。お仕事でヘルメットを被る機会はあるか。朝、スタイリングに時間をかけられるか、それともほとんど何もしないか。そうしたお客様のライフスタイルをお伺いすることで、ご自宅での再現性が高く、日々の生活に馴染む、本当に扱いやすいヘアスタイルをご提案できるのです。
上手な頼み方とは、想いを素直に伝えること
完璧な専門用語を知っている必要も、理路整然と説明する必要も全くございません。上手な頼み方の本質とは、お客様がご自身の髪についてどんなことに悩み、どんな自分になりたいかという「想い」を、どうぞ飾らない素直な言葉でお聞かせいただくことに尽きます。お客様の言葉にならない想いを汲み取り、それをプロの技術で形にすることこそ、お客様一人ひとりに真摯に向き合う、誠実な理容師の最も大切な仕事です。どうぞ安心して、あなたの想いをお聞かせください。