【なぜ?】サロンシャンプーがきしむ理由と正しい対処法|プロが誤解を解きます
はじめに
ご自身の髪を大切にしたいという想いから、少し奮発してサロン品質のシャンプーを使い始めた、という男性は少なくないでしょう。しかし、いざ使ってみると「なんだか髪がきしむ…」「指通りが悪くなった気がする」と感じ、戸惑ってしまったご経験はないでしょうか。「髪に良いはずなのに、なぜ?」そのように抱いた疑問や不安は、ごく自然なものです。ですが、その「きしみ」は、必ずしも悪いサインとは限りません。むしろ、あなたの髪が本来の健康な状態へ向かっている証である可能性もあるのです。この記事では、髪の専門家である理容師が、サロンシャンプーがきしむ本当の理由と、その正しい対処法について、皆様の誤解を解きながら詳しく解説してまいります。
そもそも「きしみ」の正体とは何か?
多くの方が不快に感じる「きしみ」ですが、その原因を理解することが、不安解消への第一歩となります。きしみの主な原因は、二つ考えられます。一つは、これまでお使いのシャンプーやトリートメントに配合されていた「シリコン」などのコーティング剤が、サロンシャンプーに切り替えたことで洗い流され、髪が本来の「素の状態」になったことです。いわば、髪がお化粧を落とした「すっぴん」の状態であり、これまでコーティングによって作られていた人工的な滑らかさがなくなったために、きしみとして感じられるのです。もう一つは、ヘアカラーやパーマなどで傷んだ髪が、弱酸性であるシャンプーに触れることで、髪のタンパク質がキュッと引き締まる(収斂する)ことによるものです。
その「きしみ」、実は良いサインかもしれません
前述の通り、きしみの原因が、髪が「すっぴん」の状態に戻ったことによるものであれば、それはむしろ歓迎すべきサインと言えます。余分なコーティングがなくなったことで、これから使うトリートメントの栄養成分が、髪の内部にまで浸透しやすくなります。つまり、本格的なヘアケアを始めるための準備が整った状態なのです。また、アルカリ性に傾いたダメージヘアが、シャンプーによって健康な弱酸性に戻ろうとする過程で一時的にきしむことも、髪が正常な状態へ向かっている証拠と捉えることができます。
サロンシャンプーのきしみを軽減する、正しい使い方
とは言え、毎日のシャンプーで不快なきしみを感じるのは避けたいものです。正しい使い方を実践することで、そのきしみは大幅に軽減することができます。まず、シャンプー前には38度程度のぬるま湯で、1分以上かけて髪と頭皮を丁寧に「予洗い」してください。これだけで汚れの多くが落ち、シャンプーの泡立ちが格段に良くなります。次に、シャンプーは手のひらで空気を含ませるようにたっぷりと泡立て、その泡をクッションにして、髪同士が擦れないように頭皮を中心に優しく洗いましょう。そして最も重要なのが、シャンプー後のトリートメントです。シャンプーによって素の状態になった髪に、トリートメントで水分と油分、栄養を補給し、キューティクルを整えることで、驚くほど滑らかな指通りに変わります。シャンプーとトリートメントは、必ずセットで使うものとお考えください。
それでもきしみが気になる場合のシャンプー選び
正しい使い方を試しても、なおきしみが強く感じられる場合は、髪が深刻なダメージを負っている可能性があります。その場合は、シャンプー選びの基準を少し変えてみましょう。アミノ酸系の優しい洗浄成分であることはもちろん、セラミドやヒアルロン酸といった高保湿成分、そして加水分解ケラチンなどの毛髪補修成分がより豊富に配合されたものを選ぶことで、洗いながらにして髪に潤いと強度を与えることができます。また、「ノンシリコン」にこだわりすぎず、ダメージレベルの高い方のために適度なシリコンを配合し、指通りと保護を両立させたサロンシャンプーも存在します。
きしみの原因を正確に知りたいなら、プロの診断を
「自分のきしみの原因は、すっぴん髪になったからなのか、それとも深刻なダメージからなのか…」ご自身でその原因を正確に判断するのは、非常に難しいものです。そんな時こそ、私たち髪のプロフェッショナルにご相談ください。誠実な理容師は、お客様の髪を実際に見て、触れて、そのきしみの原因を的確に診断することができます。そして、その原因に合わせた最適なシャンプーの選び方、使い方、さらにはサロンでしかできない集中トリートメントのご提案まで、あなたの髪の状態に合わせたトータルなケアプランを立てることが可能です。
まとめ
サロンシャンプーを使った際に感じる「きしみ」は、多くの場合、髪が健康を取り戻すためのプロセスの一環です。その正体を正しく理解し、予洗いやトリートメントといった正しいケアを実践することで、不快な感覚は解消され、髪は本来の美しさへと導かれます。もし、ご自身の髪の状態や、きしみの原因に確信が持てず、不安を感じているのであれば、どうぞお気軽に信頼できるサロンの扉を叩いてみてください。あなたのそのお悩みに、専門家として明確な答えをご用意してお待ちしております。