【メンズヘアセット】髪を濡らさないのはアリ?プロが教える、時短セット術と、その限界
「毎朝、髪を濡らして、ドライヤーで乾かして…正直、時間がかかって面倒くさい!」
「そこまでひどい寝癖もついていないし、乾いた髪のまま、サッとワックスをつけて終わらせられないの?」
そんな、多くの男性が、一度は必ず抱くであろう、素朴な、そして切実な疑問。
結論から言えば、いくつかの条件と、テクニックを知っていれば、その時短セットは、ある程度は「アリ」です。
しかし、プロが創り出すような、完璧なスタイルを目指すのであれば、それは残念ながら「ナシ」と言わざるを得ません。
今回は、その明確な理由と、現実的な時短テクニック、そして、その悩みから、あなたを永久に解放する、究極の解決策までを、プロの視点から、正直にお伝えします。
なぜプロは、口を酸っぱくして「まず髪を濡らせ」と言うのか?
私たちプロの理容師が、ヘアセットの基本として、必ず「まず、根元からしっかりと濡らすこと」を推奨するのには、髪の性質に基づいた、明確で、そして科学的な理由が存在します。
- あなたの「寝癖」は、毛先ではなく「根元」についているから
あなたが、朝、鏡の前で格闘している、その頑固なハネや、潰れてしまったトップ。
その原因は、あなたが思っているような、毛先の曲がりではありません。
寝ている間に、枕などで、長時間押し付けられてしまった、「髪の根元」の潰れや、曲がりこそが、寝癖の本当の正体なのです。
そのため、いくら毛先に水をつけても、あるいは、強力なワックスで押さえつけようとしても、大元である根元が曲がっている限り、すぐに元に戻ってきてしまうのです。 - 髪は「乾く瞬間」にしか、形を記憶しないから
髪の毛には、濡れると結合が切れ、そして「乾く瞬間」に、その形で再結合するという、「水素結合」と呼ばれる、非常に重要な性質があります。
私たちが、ドライヤーの熱と風を使って、自由自在に髪型を創ることができるのは、この性質を利用しているからです。
つまり、既に乾いてしまっている髪に、いくらワックスをつけても、それは、ただ髪の表面を、粘着力でくっつけているだけであり、髪の内部から、形そのものを変えているわけではないのです。
これが、セットが崩れやすい、最大の理由です。 - スタイリング剤が、壊滅的に「ムラ」になるから
乾いた髪は、まるでスポンジのように、スタイリング剤の水分や油分を、瞬時に吸収してしまいます。
そのため、スタイリング剤を、髪全体に、均一に、そして薄く伸ばすことが、非常に難しくなり、部分的にベタついたり、あるいは、全くついていない部分が生まれたりする、「ムラ」の、直接的な原因となります。
それでも、濡らしたくないあなたへ。プロが教える「妥協的」時短セット術
上記の原則を理解した上で、それでも、どうしても時間がない、というあなたのための、現実的な時短テクニックをご紹介します。
テクニック1:寝癖部分の「根元」だけを、狙い撃ちで濡らす
これが、最も効果的で、そして現実的な、最高の妥協案です。
全頭を濡らす必要はありません。
スプレイヤー(霧吹き)を使い、あなたが、どうしても気になる、潰れたトップや、ハネた襟足の、「根元(地肌)」部分だけを、ピンポイントで、集中的に濡らしてください。
そして、その部分だけを、ドライヤーで、根元をこするようにして乾かし、リセットします。
これだけでも、仕上がりは、劇的に変わります。
テクニック2:「蒸しタオル」で、根元を温め、そして蒸らす
スプレイヤーもない、という場合は、この方法も有効です。
水で濡らしたタオルを、固く絞り、電子レンジで、十数秒ほど温めます(火傷には、絶対に注意してください)。
その、温かい蒸しタオルを、寝癖がついている部分の根元に、数秒間、優しく押し当てます。
タオルが持つ「熱」と「蒸気」の力で、髪の水素結合が緩み、その後のセットが、少しだけ楽になります。
テクニック3:スタイリング剤を、あえて「ウェット系」に変えてみる
ジェルやグリース、あるいはヘアクリームといった、製品そのものに、水分量を多く含む、ウェット系のスタイリング剤を選んでみましょう。
スタイリング剤が持つ、その水分を利用して、乾いた髪を、ある程度、扱いやすくすることができます。
ただし、これは、あくまでも応急処置であり、根本的な寝癖を直す力は、ほとんどない、ということを理解しておきましょう。
究極の時短は「濡らさなくても、決まる髪」を、手に入れること
毎朝、あなたが感じている、その「面倒くさい」という気持ち。
私たちプロは、その気持ちを、完全に理解しています。
そして、その悩みを、根本から、そして永久に解決するための、究極の答えも、私たちは知っています。
それが、「そもそも、朝、髪を濡らさなくても、寝癖がつきにくく、そして、簡単にスタイルが決まる髪」を、プロのカット技術によって、手に入れてしまう、ということです。
- あなたの「面倒くさい」を、カットで「設計」する
私たちプロは、お客様が「おそらく、朝、髪を濡らさない日もあるだろう」ということまで、全て予測した上で、ヘアスタイルをデザインしています。
あなたの骨格や、生えグセを正確に見極め、たとえ寝癖がついても、それが、まるで意図的な無造作ヘアであるかのように見える、計算され尽くしたシルエットを、カットで創り上げます。 - 最強の形状記憶、「パーマ」という選択肢
そして、あなたの朝を、究極の、そして最も快適なものにするための、最強の技術。
それが「パーマ」です。
あなたの髪に、あらかじめ、理想のスタイルを「形状記憶」させてしまう。
これにより、多少の寝癖がついても、手ぐしを通したり、少量のワックスを揉み込んだりするだけで、瞬時に、スタイルが復活します。
「髪を濡らさない」というレベルを超え、もはや「ヘアセットそのものが、ほとんど不要になる」という、新しい朝が、あなたを待っています。
まとめ
忙しい朝、髪を濡らさずにセットしたい、というあなたの気持ちは、非常によく分かります。
そして、今回ご紹介した、いくつかのテクニックを使えば、ある程度のレベルまでは、それを実現することも可能です。
しかし、最高のクオリティと、本当の意味での「時短」、そして、何よりも、毎朝の「ストレスからの解放」を、本気で求めるなら。
その答えは、スタイリング技術を磨くこと以上に、そもそも「セットが、驚くほど簡単な髪」を、あなたの髪質と骨格を知り尽くした、プロの理容師に、オーダーメイドで創ってもらうことにあります。
あなたの貴重な「朝」を、もっと快適に、もっとスマートに、そして、もっと価値のあるものにするために。
ヘアスタイルという側面から、私たちプロフェッショナルが、そのお手伝いをさせていただきます。
あなたの「面倒くさい」を、ぜひ、私たちにご相談ください。