刈り上げ×ちょんまげ(マンバン)の結び方|現代に蘇る、男の髪型
かつて、日本の武士(サムライ)たちが、その潔さと機能性、そして揺るぎない魂の象徴として結い上げた「ちょんまげ」。
その伝統的な魂を受け継ぎ、現代の洗練された「刈り上げ」技術と融合することで、全く新しい、そして世界的に注目されるスタイルへと進化を遂げました。
それが、「マンバン」や「トップノット」と呼ばれる、現代のちょんまげスタイルです。
この記事では、その伝統と革新が融合した、究極の自己表現スタイルの全てを解き明かします。
ちょんまげからマンバンへ。進化するロングヘアスタイル
現代版ちょんまげは、サイドや襟足を大胆に刈り上げ、残したトップの長い髪を結ぶのが基本です。
結ぶ位置や、組み合わせる刈り上げのデザインによって、その表情は大きく変わります。
- 現代版ちょんまげの、代表的なスタイル
- 【トップノット】
潔さが際立つ、高めのちょんまげ
頭頂部(トップ)の高い位置で髪を結ぶスタイルです。サイドを高く刈り上げるほど、その潔さが際立ち、シャープで力強い印象を与えます。 - 【マンバン】
大人の色気が漂う、低めのちょんまげ
後頭部の低い位置で、無造作にお団子のように結ぶスタイルです。トップノットに比べ、リラックスした、アンニュイで色気のある雰囲気を演出できます。 - 【刈り上げ】
清潔感と男らしさをプラスする、完璧な土台
これらの長髪スタイルを、単なる“伸ばしっぱなし”に見せない、最も重要な要素が刈り上げです。特に、地肌から始まる滑らかなグラデーションを描く「フェードカット」との相性は抜群で、スタイル全体に圧倒的な清潔感と品格を与えます。
- 【トップノット】
失敗しないために。「伸ばす覚悟」とデザインの選び方
このスタイルは、誰にでもすぐにできるものではありません。
理想の形を手に入れるには、時間をかけて髪を伸ばすという、「覚悟」と「計画性」が不可欠です。
- 挑戦する前に知っておくべきこと
- 必要な髪の長さと、そこに至るまでの期間
綺麗に髪を結ぶためには、最低でも、トップの髪が鼻先から顎のラインに届くくらいの長さが必要です。多くの場合、坊主の状態から1年以上の時間が必要となる、長期的なプロジェクトです。 - “伸ばしかけ”という、最もつらい期間の乗り越え方
髪が中途半端な長さで、結ぶこともできず、スタイリングも難しい。この「魔の期間」が、最も挫折しやすい時期です。この期間は、パーマをかけて扱いやすくしたり、帽子を上手く活用したりして、乗り越える工夫が必要です。 - 刈り上げは、結べるようになってから入れるのがセオリー
最初から理想の刈り上げを入れてしまうと、伸ばしているトップとのバランスが取りにくくなります。まずはトップの長さを確保することに専念し、結べる長さになった段階で、プロと相談しながら刈り上げのデザインを決めるのが、失敗しないための鉄則です。
- 必要な髪の長さと、そこに至るまでの期間
毎日の結び方と、清潔感を保つ基本ケア
長い時間と労力をかけて手に入れたスタイルだからこそ、日々のケアで、その価値を最大限に高めましょう。
清潔感を保つことが、最も重要なポイントです。
- 日々のスタイリングとケア
- 綺麗な結び方のコツ
きつく結びすぎると、頭皮に負担がかかってしまいます。少し緩めに結び、ヘアゴムはシンプルなものを選びましょう。結ぶ前に、オイルやバームを髪に馴染ませておくと、まとまりが良く、美しいツヤが出ます。 - 清潔感を保つための「頭皮ケア」
長髪スタイルは、頭皮が蒸れやすく、フケやかゆみといったトラブルの原因になりがちです。毎日のシャンプーで、指の腹を使い、頭皮をマッサージするように、優しく、しかし、しっかりと洗いましょう。 - 刈り上げ部分の「メンテナンス」はこまめに
このスタイルの清潔感を担う、刈り上げ部分。ここが伸びてしまうと、途端にだらしない印象になります。2〜3週間に一度はサロンを訪れ、刈り上げ部分だけでも整えてもらうことが、スタイルを維持する上で極めて重要です。
- 綺麗な結び方のコツ
なぜこのスタイルは、プロの理容師にしか創れないのか
長い髪と、短い刈り上げ。
この、両極端な要素を、一つのヘアスタイルとして、美しく、そして破綻なく成立させるには、極めて高度な技術と、それを支える設計力が求められます。
プロの理容師は、あなたが髪を下ろした時のシルエット、そして結んだ時の見え方の両方を、完璧に計算しながらスタイルを創り上げていきます。
長い髪が最も美しく見えるための「土台」として、あなたの骨格に合わせて刈り上げ部分を設計し、その二つの異質な質感を、まるで元からそうであったかのように、自然に「繋ぐ」のです。
特に、結んだ時に現れる、襟足やもみあげのシャープなラインは、理容師だけに許されたカミソリの技術があってこそ、完璧な美しさに仕上がるのです。
揺るぎない意志を、その毛先に宿して
刈り上げと、ちょんまげ(マンバン)。
この髪型は、単なるファッションではありません。
それは、時間をかけて自分を育て上げるという「覚悟」と、周りに流されない「意志」の、力強い象徴です。
その揺るぎないスタイルは、あなたの立ち振る舞い、そして生き方そのものをも、より力強く、魅力的に見せてくれるでしょう。
ぜひ一度、現代に蘇ったサムライの髪を、プロの理容師の技術で、手に入れてみてはいかがでしょうか。